上達するためには
Oさんは二十年以上にわたり書道を習っています。師匠から「上達の秘訣は、短時間でも良いから毎日筆を持つこと」と教わり、それを実践しています。
特に熱心に取り組んでいるわけではなく、「毎晩寝る前に筆を持ち、少し書く」と決めて、それを実行しています。
人は夜になれば寝るのが自然の摂理です。Oさんはそれに従って毎日書くことで習慣化したといいます。
これは一例に過ぎませんが、仕事や趣味においても、上達したいことがある場合は、毎日短時間でも取り組むことが効果的です。
毎日取り組むためのコツは、上達したいことを一日のリズムの中でスケジュール化することです。自分が取り組みやすい時間と場所を決め、それを習慣化すれば、無理なく毎日続けることができるはずです。
自己を向上させ、周囲の役に立つ人間になりたいと思うことは多々あるでしょう。決心したことを毎日、コツコツと積み重ね、それを成し遂げていきましょう。
今日の心がけ◆習慣で上達したいことを磨きましょう
出典:職場の教養5月号
感想
この話を読んでまず感じたのは、日々の小さな積み重ねの力に対する深い敬意です。
Oさんのように、特別な意志の強さや情熱がなくとも、「寝る前に少し書く」という行為を何年も続けられるのは、まさに「習慣の力」を体現していると思いました。
上達とは、気合いや一時的な集中力ではなく、いかに無理のない形で生活に溶け込ませられるかという視点が大切で、それが本当の意味での継続の秘訣なのでしょう。
「今日の心がけ」で語られるように、「習慣で上達したいことを磨く」という姿勢は、自己成長を無理なく持続可能にするための鍵だと感じます。
特に現代のように情報と刺激が多すぎる時代において、自分にとって大切なことを一日の中にしっかり組み込むことができるかどうかは、人生の質そのものに関わってくると思います。
自分の時間と行動に責任を持つという意味でも、非常に実践的かつ示唆に富んだ話でした。
否定的な感想
たしかに毎日の積み重ねは力になるということは真理ですが、「続ければ上達する」というシンプルな図式は、ある種の理想化された面も感じました。
というのも、日々続けること自体が難しい人もいれば、続けても思うような結果に至らない人もいるからです。
その苦しみや停滞についての視点が欠けているため、「できる人の話」に見えてしまい、現実感に乏しい印象を受けました。
また、Oさんのように「特に熱心ではないが毎日やっている」というスタンスが、逆に「熱心に取り組むこと」の価値を相対化してしまっているようにも思えます。
情熱や集中して取り組む時間の価値もあるはずで、そのバランスについての言及があるとより深みが増したのではないでしょうか。
努力の質や自己反省のプロセスも、上達には不可欠だという視点が欠落している点は惜しいと感じました。