海運
日本は、山地が多く平野部が少ないのが特徴です。また、地図を一見して分かるのは、海に囲まれた島国であるということです。
海に面している恩恵としては、魚や海産物が豊富にとれることが思い浮かびますが、日本が国際社会で力を発揮するために重要な役割を果たしている、他国と結ばれた海路があることも特徴の一つです。
飛行機による空輸、自動車や列車による陸運など、物が運ばれる経路はいくつかありますが、海運による輸送力は圧倒的です。海外から日本に来る貨物のほとんどが海を経由しています。
エネルギーや原材料、食糧などの外国産の物は、海を通じて私たちのもとに届きます。また、国内でも、港を行き来する貨物が多数あります。こうして見ると、恩恵を受けているのは漁業に限らないことがわかります。
毎年七月の第三月曜日は「海の日」です。様々な面で海に支えられてきた日本の歴史に思いを馳せたいものです。
今日の心がけ◆海の恵みに感謝しましょう
出典:職場の教養7月号
感想
この文章は、日本の地理的特性から海運の重要性に焦点を当て、私たちの生活がどれほど海に支えられているかを丁寧に伝えています。
特に、魚介類といった目に見える恵みだけでなく、エネルギーや原材料、食糧といった生活基盤を支える重要な物資もまた、海によって運ばれてくることに改めて気づかされました。
空輸や陸運と比較して、海運が圧倒的な輸送力を持っているという事実は、日本の経済や生活の根幹を担っていると言っても過言ではありません。
「海の日」に触れたくだりでは、祝日の由来が単なる休日としての意味を超え、歴史や自然とのつながりを思い返す大切な機会であることが示されており、非常に好感を持ちました。
特に、今日の心がけとしての「海の恵みに感謝しましょう」という一言が、実に本質を突いています。
日々、海の存在を当然のように受け止めてしまっている現代人にとって、このような意識の転換を促すメッセージはとても意義深いです。
否定的な感想
この文章には海運のメリットばかりが強調されており、環境負荷や地政学的リスクといった側面への視点が欠けている点は気になります。
例えば、海運は温室効果ガスの排出源でもあり、また国際的な緊張が高まった場合には海上ルートが脅かされる可能性もあります。
こうしたリスクに目を向けずに、「圧倒的な輸送力」や「恵み」といった言葉だけを並べるのは、やや一面的に過ぎる印象を受けます。
また、「海に囲まれた島国である」という地理的事実は確かに重要ですが、それが自動的に海運の発展や恩恵に直結するかのような論調には慎重になるべきです。
海運を支えるのはインフラ、政策、国際的な協力といった複雑な要素であり、それらに触れることなく自然地形だけを強調するのはやや説明不足のように感じました。
「海の恵みに感謝しましょう」という言葉も、美しく響く一方で、現実の課題への向き合いを見失わせてしまう危うさも孕んでいます。