月に一度の席替え
青山学院大学陸上競技部町田寮の寮母として、チームを支えている原美穂氏は、「チームの結束力を高めるには、一部の人と深い関係を築くことより、すべての人との間から垣根を取り払い、広い関係をつくることが重要」と述べています。
その取り組みのひとつが、食堂の席替えです。食事は決まった席でとり、月に一度はシャッフルすることが寮のルールとなっています。気の合う人とばかり食事をしていると、それ以外の人とは親しくなれないという理由からです。
職場においても、多くの人が携わって業務が進められていくため、気の合う同僚とだけコミュニケーションを深めても、職場全体としては良い効果が生まれにくいでしょう。
まずは、顔を合わせた時に自ら挨拶することから始めてみましょう。今まであまり関わりのなかった人でも、挨拶をきっかけにコミュニケーションが生まれ相手の意外な一面を知ることができるかもしれません。
多くの人とコミュニケーションをはかり、結束力を高めていきたいものです。
今日の心がけ◆率先して挨拶をしましょう
出典:職場の教養12月号
感想
この取り組みには、現代の「つながり」に対する新しい価値観が体現されていると感じました。
特に、青山学院大学陸上競技部町田寮の食堂で行われている月に一度の席替えは、単なる制度ではなく、人間関係の流動性を意識的に作り出す試みとして、とても意味深いものだと思います。
人はどうしても居心地の良い関係にとどまってしまいがちですが、それが時に、他者を知る機会を奪い、集団全体としてのまとまりや多様性への理解を阻害してしまう。
その「ぬるま湯」のような関係性から一歩踏み出させる仕掛けとして、席替えがあるのは素晴らしいと思います。
また、「深い関係を一部の人と築くよりも、垣根を取り払った広い関係を築くことが大切」という原美穂氏の言葉には、寮母という立場から日々人と接する中で育まれた、実感のこもった重みがあると感じました。
この言葉は、学校や職場といった組織に限らず、地域社会や家庭にも通じる普遍的な視点を持っているように思います。
「今日の心がけ」として提示された「率先して挨拶をする」という行為は、小さなようでいて、相手の存在を認める最初の一歩としてとても重要です。
人間関係のきっかけをつくる力が、そこには確かにあると実感しました。
否定的な感想
このような「広い関係」を重視するアプローチが、必ずしもすべての人にとって心地よいとは限らないのでは、という疑問も感じました。
特に内向的な性格や、人間関係に強いストレスを感じやすい人にとっては、月に一度の席替えによって新しい関係性を強制されることが、かえって心理的な負担になる可能性があります。
「結束力」という言葉は、時に同調圧力と紙一重の側面を持ち、個人の多様性やペースを置き去りにしてしまうこともあるからです。
また、「一部の人と深い関係を築くより」という比較に少しだけ違和感を覚えました。
深い関係性は人間にとって不可欠なものでもあり、それがあるからこそ他者との関係に安心して臨める人も多いと思います。
全方位的なフラットな関係性ばかりを重視しすぎると、結果として「誰とでも広く浅く」という関係ばかりになり、逆に孤独を感じやすくなるリスクもあります。
挨拶をすることの大切さには異論はありませんが、それがすべての人に対して同じように機能するとは限らないことも、また事実として受け止めたいと思いました。
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