プロギング
最近、注目されている「プロギング」という言葉は、スウェーデン語の「拾う(plocka upp)」と「ジョギング」を合わせてできた造語です。
プロギングは二〇一六年にスウェーデン人アスリートのエリック・アルストロム氏によって始められ、走って健康に、そしてゴミを拾って街も綺麗になるということで、今や世界百カ国以上で親しまれています。
ジョギングとゴミ拾いという全く異質のものがコラボレーションすることで新たなものが生まれ、思わぬ成果が発揮されました。何事も組み合わせることで、相乗効果による高い成果やモチベーションの向上などが期待できます。
例えば職場では、それぞれの部門に分かれて仕事に取り組んでいますが、「他部署のことは関係ない」という姿勢で仕事をしていては、トラブルが生じたときに迅速な対応ができないということにもなりかねません。
そんな事態を防ぐためには、視点を変えて、他部門との交流やお互いの仕事への理解を深めるなど、新たな取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。
今日の心がけ◆多様な視点を活かしましょう
出典：職場の教養10月号
感想
この話は、一見無関係に思えるもの同士が結びついたときに生まれる新しい価値について、鮮やかに描かれています。
「プロギング」という活動は、その好例であり、運動と社会貢献という二つの行動が見事に融合し、人にも街にもポジティブな影響を与えている点に非常に感銘を受けました。
自分の健康を気遣いながら、同時に地域への思いやりを実践するという行動は、まさに現代的でサステナブルなライフスタイルだと感じます。
個人の善意が社会全体に波及していく可能性が、こうした新しい形のアクションによって見えてくるという意味でも、希望を感じさせてくれます。
また、そこから発展して職場での部門間連携へと話が展開していく構成には納得感がありました。
異なる部署同士のコラボレーションが新しい価値や迅速な問題解決を生むという指摘は、まさに「プロギング」における融合の精神と通じるものです。
部門の垣根を越えて協力することは、単なる効率化ではなく、互いへの理解を深め、組織の一体感を育むための重要な要素であると改めて認識しました。
「多様な視点を活かしましょう」という今日の心がけも、現代社会の複雑さに柔軟に対応するためのヒントとして、非常に有効だと感じます。
否定的な感想
「プロギング」を取り上げた本話には、やや理想化された側面も見受けられました。
運動と社会貢献を結びつけるというアイディアは魅力的ですが、実際にそれを日常的に実践できる人は限られているのではないかという現実的な疑問も残ります。
時間や体力に余裕のある人には受け入れやすいかもしれませんが、そうでない人にとってはむしろ「意識の高い行動」として距離を感じてしまう危険性もあるでしょう。
また、そこから職場の部門連携の話に展開する部分についても、やや飛躍があるように思いました。
プロギングが自然発生的な「善意」に基づいて行われるのに対し、企業における部門連携は利害や役割分担の明確化が必要な、より制度的・戦略的なものです。
単純なコラボレーションの美徳を持ち込むだけでは、現場の複雑な事情に対応しきれない場合も多くあります。
そのため、異なるものの組み合わせには希望とともに、丁寧な調整や仕組みづくりが不可欠であるという点も、補足しておくべきだったと感じました。
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