2025年10月30日(木) 「まほろば」とは何か

「まほろば」とは何か

文化に触れる中で、知っておきたい美しい言葉の一つに「まほろば」があります。これは「優れた場所」「住みやすい土地」といった意味を持つ古語で、「まほらば」や「まほら」とも言われます。

日本最古の歴史書『古事記』には、倭建命が辞世の歌として「倭は国のまほろば」と詠んだ場面が記されており、この歌は広く知られています。

彼は父・景行天皇の命を受け、西国の熊曾建や出雲建を討ち、さらに東国を平定するなど、武勇に優れた人物でした。しかし、任務を終えて故郷へ戻る途中で病に倒れ、能煩野の地で命を落とします。

その臨終の際、帰ることのできなかった故郷への思いを込めて「倭は国のまほろば」と詠んだ歌からは、無念さとともに祖国への誇りがにじみ出ています。

「優れた場所」「住みやすい土地」と感じるかは人それぞれですが、場所が人の心の拠り所となることは間違いありません。

まずは、自分の身近な環境を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。

今日の心がけ◆職場の環境を見直しましょう

出典:職場の教養10月号

感想

「まほろば」という言葉に込められた情緒と歴史性は、現代に生きる私たちにとっても深く響くものがあります。

特にこの話では、倭建命の最期に詠んだ「倭は国のまほろば」という歌を通じて、祖国に対する強い愛着と誇り、そして帰ることが叶わなかった無念の想いが丁寧に描かれており、その静かな力強さに心を打たれました。

彼の壮絶な人生の終わりに発せられたこの一言には、ただの美称ではなく、生きる中で幾多の困難を経験した者だけが抱く“帰る場所”への切実な憧れが込められているように思います。

また、「まほろば」はただの理想郷という意味ではなく、人それぞれが感じる「心地よい場所」であるという解釈には強く共感します。

たとえば、整った都市環境だけでなく、思い出の詰まった実家や、信頼できる人たちに囲まれた職場など、その人にとっての「まほろば」は多種多様であって良い。

この視点は、自己肯定感や日常の幸福感を高めるためにも大切であり、「まずは自分の身近な環境を整える」という今日の心がけには実践的な価値があると感じました。

否定的な感想

この話は「まほろば」の語源や倭建命の歴史に重きを置きすぎており、現代の我々がどう日常に取り入れるべきかという視点がやや曖昧だった印象も否めません。

たしかに歴史を知ることは大切ですが、それが現代人の生活感覚とどのように結びつくのかが、もう一歩深く掘り下げられていれば、読者にとってよりリアリティのある学びとなったのではないでしょうか。

また、「職場の環境を見直しましょう」という今日の心がけも、少し唐突に感じられました。

美しい古語の話から職場の話への飛躍には、もう少し橋渡しの説明が欲しかったところです。

例えば、「まほろば」が人の心の拠り所であるならば、現代における職場や家庭もまた、そうした“拠り所”として機能しうるというつながりが明示されていれば、より納得感を持って受け止められたと思います。

感想がいまいちピンとこない方は…

「なんかしっくりこないんだよなぁ」「でもなかなか思いつかない…」そんな時は、感想文ジェネレーターをお試しください。

あなたのお好みのテイスト・文字数で職場の教養の感想文を生成できます!