連帯感を高める
プロ野球の読売ジャイアンツの監督として、九年連続日本一という偉業を成し遂げた川上哲治氏は、練習前の日課として、監督、コーチ、選手、マネージャーなど、チーム全員でグラウンドのゴミ拾いを行なっていたそうです。
川上氏は著書の中で「一見つまらない作業だが、練習前のこうした集団作業は思いのほか、全員に日々の緊張や連帯感を生み、仕事への大事な心というものを蓄積していった」と述べています。
これはスポーツの世界に限らず、私たちの職場においても同じことが言えるでしょう。オフィスの清掃だけでなく、同じ部署のメンバーと食事をとるなど、行動を共にすることで連帯感が高まり、業務改善につながることも期待できます。
こうした取り組みは、先輩や後輩といった立場に関係なく、共に行なうことで連帯感が生まれてきます。一方で、例えば職場の清掃や整理整頓を行なう時に後輩社員に任せて、先輩が何もしなければ不足不満が生じます。
先輩が率先して行動し、職場の活性化につなげていきたいものです。
今日の心がけ◆まず自ら動きましょう
出典:職場の教養11月号
感想
この話に強く共感したのは、「一見地味なことの中にこそ、大切な意味が宿る」という視点が貫かれていたからです。
川上哲治氏のような卓越したリーダーが、勝利や結果だけを追い求めるのではなく、練習前の「ゴミ拾い」という何気ない行動にチーム全員で取り組んでいたという事実は、その人間性と哲学を象徴しています。
このような行為が、単なる美化活動ではなく、日々の緊張感を整え、連帯感を築く土台になるというのは、非常に本質的な教訓です。
仕事の場面でもこれは同様で、業務外の時間を共に過ごしたり、肩書きや立場を超えて同じ行動をすることが、言葉では築けない信頼関係を生み出します。
とりわけ、職場の整理整頓や清掃といった「誰かがやらなければならないが、誰もやりたがらない」行動にこそ、その人の本質やチームへの姿勢が現れます。
「今日の心がけ」にあるように、まずは自分が率先して動くことが、周囲の空気を変え、チームの力を引き出す起点となるのだと再確認させられました。
否定的な感想
この話の中には少し危うさも含まれていると感じました。
それは、「連帯感を高めるためには、全員が同じ行動を取るべきだ」という前提が、無自覚に強調されているように思える点です。
もちろん、共同行動には意味がありますが、それが暗黙のルールや強制になってしまった場合、かえって逆効果になることもあるのです。
特に、体調や性格、仕事量の違いなど、個々の事情に配慮せずに「全員でやることが美徳」とされると、無言の圧力や同調圧力になりかねません。
また、「先輩が率先して行なうべきだ」という指摘も理想論としては理解できますが、実際の現場では、先輩自身も多忙を極めており、清掃などにまで気が回らないことも多々あります。
それを一概に「やらない=連帯感を壊す」と結びつけてしまうと、むしろ誤解や不満が生じかねません。
連帯感というものは、目に見える行動だけでなく、日々のコミュニケーションや相互理解の積み重ねの中で育まれるものです。
形式的な行動よりも、それぞれが持てる範囲で「共に在る」ことの意味を模索する姿勢が大切だと感じました。
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