2025年11月9日(日) 自分の感覚

自分の感覚

八月に行なわれた陸上の「富士北麓ワールドトライアル」男子100メートルで、桐生祥秀選手が今季の日本人最速タイムとなる9秒99を記録しました。

桐生選手は、二〇一七年に日本人初の九秒台となる9秒98を記録しています。その後は、学生時代から患っていた潰瘍性大腸炎の影響で休養するなど、苦しい時期を過ごしましたが、それを乗り越えての今回の好結果となりました。

桐生選手の専属トレーナーの後藤勤氏は、桐生選手の長所に「怪我や結果に対して人のせいにしない」「感謝の言葉をたくさん述べる」などを挙げています。

また、桐生選手は、たとえコーチやトレーナーに勧められたトレーニングでも、自分で確認するまでは鵜呑みにせず、自分に合わないと判断すれば続けません。

このように他人の提案を安易に受け入れるのではなく、あくまで自己の感覚や信念を大切にする姿勢が、責任感や感謝の気持ちを育んでいるのでしょう。

情報が溢れる現代ですが、それに振り回されないためにも、自分の信念と軸を持って物事を判断したいものです。

今日の心がけ◆自身の信念を大切にしましょう

出典:職場の教養11月号

感想

桐生選手の姿から感じるのは、単なる記録の更新ではなく「信念を貫く強さ」と「自分の感覚を信じる勇気」の美しさです。

誰よりも速く走るというシンプルでありながら過酷な世界において、病を抱えながらも結果を残すその姿勢には、真のアスリートの尊厳が宿っているように思います。

特に印象的なのは、どんなに信頼するコーチの言葉であっても、一度自分の中で消化し、自らの感覚に照らし合わせて判断するという姿勢です。

それは自分の人生に対する主体性の表れであり、受け身ではなく「納得して進むこと」がいかに人を強くするかを教えてくれます。

後藤トレーナーが挙げる「人のせいにしない」「感謝の言葉を多く述べる」という点も、桐生選手の人間性を物語っています。

成功や結果だけでなく、その過程において他者への敬意を忘れない人こそ、本当に信頼される存在になるのだと感じました。

「今日の心がけ」である「自身の信念を大切にしましょう」という言葉が、まさに彼の生き様と響き合っていて、心に強く残ります。

否定的な感想

この話から浮かび上がるのは、「自分の感覚を信じる」という言葉の持つ両義性です。

桐生選手のような一流アスリートであれば、自身の経験や体感に裏打ちされた「感覚」は信頼に足る指針でしょう。

しかし、一般的な私たちがそれを模倣し、「自分の感覚」にこだわりすぎると、時に柔軟さや学びの機会を失うリスクもあるのではないかと感じました。

とりわけ現代社会では、個人の感覚がSNSなどで簡単に「正しさ」として発信され、それが偏りや独善へとつながるケースも少なくありません。

また、桐生選手のような信念を持つには、それを支える知識、経験、そして孤独に耐える力が必要です。

それらがなければ、「自分を信じる」ことはただの頑固さに変わりかねません。

ゆえに、「自分の感覚を大切にする」ことと、「他者から学ぶ姿勢を保つ」こと、この二つのバランスの取り方こそが、実は最も難しく、同時に最も重要なことだと感じました。

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