今年の漢字
毎年十二月十二日に、一年の締めくくりとして「今年の漢字」が発表されます。
この「今年の漢字」は、京都市に本部がある日本漢字能力検定協会が一九九五年から始めた催しで、今年で三十年の節目を迎えます。毎年その年の世相を表わす漢字一文字を全国から募集しています。
その年の漢字に選ばれた一字は京都の清水寺で発表され、貫主が巨大な和紙に大筆で揮毫する姿のニュースを見た人も多いでしょう。
昨年はオリンピックやパラリンピックでの日本人選手の活躍、新紙幣の発行などが話題となり、「金」が選ばれました。二〇二三年にはインボイス制度のスタートなどを背景に、「税」が選ばれています。
自分自身の一年を振り返ると、様々な出来事があったはずです。それを一字でまとめるのは難しいかもしれませんが、振り返ることで、次に向かう目標が定まったり、課題が見えてきたりするものです。
今年一年を振り返り、良い締めくくりを迎えるための時間を持ちたいものです。
今日の心がけ◆一年を振り返ってみましょう
出典:職場の教養12月号
感想
「今年の漢字」という行事は、一文字にその年の空気や人々の感情、社会の動きを凝縮するという、日本独特の感性が表れた文化的催しだと改めて感じました。
特にその漢字が、清水寺という象徴的な場で揮毫されるという演出は、日本人の「ことば」に対する深い敬意と、書という行為の精神性をあらためて思い起こさせます。
一年という時間の流れのなかで、個人と社会の両面を含めた記憶や印象を「一字」に凝縮するという行為は、実に詩的で、同時に内省的でもあると思います。
また、この記事が促している「自分自身の一年を振り返る」という行為も、ただ忙しく過ぎてしまいがちな毎日を、しっかりと意味のある時間として再構成するきっかけになるように思います。
「課題が見えてくる」「次に向かう目標が定まる」という指摘は実感としてもよくわかります。
一文字を選ぶという小さな問いかけが、自分を見つめるための確かな入口になる。この時期だからこそ味わいたい、静かで有意義な習慣だと感じました。
否定的な感想
「今年の漢字」が年々メディア的な話題性に寄りかかりすぎている印象も否めません。
本来であれば人々の内面や社会全体の深層を表現するはずのこの催しが、時に流行や出来事の表層的な象徴に偏ってしまい、「今年も無難な一字だったな」というような消費的な受け止められ方をされてしまっていることは、少し残念にも思います。
選ばれる漢字が毎年似通っていたり、予想が簡単にできたりするようでは、本来持つべき「意味の重み」が薄れてしまう危うさも感じます。
また、「一年を一字でまとめる」という発想自体が、忙しく生きる現代人にとって一種の精神的負担になりかねないとも思いました。
特に、困難や悲しみの多かった一年だった人にとっては、それを言語化することが苦痛になったり、むしろ曖昧にしていた感情を無理に引き出してしまう可能性もあります。
「振り返ることは大切」という言葉には確かに一理ありますが、それを無理に促すことは避けるべきではないでしょうか。
漢字一文字という手法の美しさは認めつつも、誰もがそれにうまく乗れるとは限らないという前提も忘れたくないと思いました。
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