2025年7月25日(金) 机の上の鏡

机の上の鏡

対人関係で笑顔の重要性を理解していても、笑顔での応対は難しいものです。

研修を通じて受講者の成長をサポートする「スマイル・フォスター」を経営する小林 良子氏は、「自分が見るよりも、相手があなたの顔を見る時間の方が長い。表情は相手に対するエチケットでありマナーでもあるのです」と言います。

受講生のAさんは、コミュニケーションが苦手でした。その悩みを小林氏に伝えると、「机の上に鏡を置くといいですよ」とアドバイスを受けたのです。

Aさんは不思議に思いながらも、翌日から机に鏡を置くことにしました。すると、自分が険しい顔をしていることに気づいたのです。そこで、鏡に向かい笑顔を一日数回作ると、不思議と心が明るくなることを実感しました。

小林氏は、笑顔の三つのルールについて次のように話します。①「え」影響力をもたらす明るさで、②「が」我を捨てて相手への思いやりを持って、③「お」穏やかににっこり微笑む。三つの頭文字を取ると「え・が・お」になります。

今日から相手の心に届く笑顔を育んでいきましょう。

今日の心がけ◆表情を意識しましょう

出典:職場の教養7月号

感想

この話は、日常に潜む「表情」という非言語コミュニケーションの力を丁寧に掘り下げていて、非常に共感を覚えました。

特に、「相手があなたの顔を見る時間の方が長い」という言葉は、自分の中にしっかりと落ちてきました。私たちはしばしば、相手の態度や表情に敏感でありながら、自分の表情が他者に与える影響には無自覚です。

そのことに気づかせてくれるこのエピソードは、まさに鏡のように自分の姿勢を映してくれます。

Aさんが机の上に鏡を置いたことで、自分の表情と向き合い、変化を実感したという体験は、理屈を超えて感覚に訴えかける説得力がありました。

笑顔が心にも作用するということは、単なる外向きの礼儀ではなく、自分自身を整える手段でもあるのだと感じました。

また、「え・が・お」という三つのルールも、形式的なテクニックではなく、心の持ち方として自然に取り入れられるのが良いですね。

相手を思いやる穏やかな微笑みは、日々の対人関係の潤滑油になると改めて思いました。

今日の心がけの「表情を意識しましょう」は、今この瞬間からでも実行できる実践的なアドバイスです。

否定的な感想

笑顔の重要性を強調するこの話は、やや「笑顔を義務化」するような空気を感じさせる部分もありました。

たとえば、「表情は相手に対するエチケットでありマナー」という言い方は、無意識に相手の期待に応えることを強制するようにも取れます。

特に、感情が不安定なときや、無理に笑顔を作ることがストレスになる人にとっては、プレッシャーに感じられるかもしれません。

また、Aさんのように鏡を活用することが効果的なケースもありますが、それが万人に通用する方法かというと疑問が残ります。

自分の険しい表情に気づいて落ち込んでしまう人や、笑顔を「演技」として捉えてしまう人もいるでしょう。

内面と表情が乖離したときに生じる違和感に対して、どのように向き合えばいいのかという視点が欠けていたように思います。

「笑顔は相手のため」と言う考えは美しい反面、自分を抑えて相手に尽くすという発想にもつながりかねません。

真の笑顔とは、相手のためでありつつ、自分の心からも自然に湧き上がるものであってほしいという思いが残りました。