食わず嫌い
『広辞苑』によると「食わず嫌い」とは、「食べたこともなく、味も知らずに嫌いだと思い定めること」「妙味や真価を悟らないでわけもなく嫌うこと」を言います。日常生活でも、特に理由もなく敬遠していることはないでしょうか。
スポーツが好きなAさんは、小学生の頃からサッカーやテニスをしていました。社会人になってからは、継続的に運動することはなくなったものの、フットサルやミニテニスなどに誘われた時にはできる限り参加していました。
しかし、野球だけは苦手意識があり、誘われても断っていました。ところが、町内会対抗試合で人数が足りなくなり、数合わせで出場することになったのです。
当日は不慣れながらも懸命にプレーしていると、メンバーの声掛けや必死な様子を肌で感じ、Aさんもいつしか真剣になっていました。ミスもありましたが、最後の打席ではヒットを打つことができ、充実した一日になったのです。
物事にはやってみて初めてわかることが多くあります。何事もまずはチャレンジしてみることで、新しい世界を切り開いていきたいものです。
今日の心がけ◆新しいことに挑戦しましょう
出典:職場の教養9月号
感想
この話には、人間の可能性や柔軟性を信じさせてくれる力がありました。
Aさんが「食わず嫌い」を克服し、野球という未知の領域に一歩踏み出したことで、新たな楽しみや達成感を得られたという展開には、どこか励まされるような清々しさがあります。
最初は消極的だったとしても、環境や人とのつながりによって自然に意識が変わり、真剣になっていく様子がとてもリアルで、読んでいて自分の経験とも重ねてしまいました。
特に印象的だったのは、「メンバーの声掛けや必死な様子を肌で感じ」という部分です。
これは単なるスポーツの話ではなく、人との関係性の中で感化され、自分の態度や意識が変化していくことの象徴でもあります。
新しいことに対する挑戦は、孤独なものではなく、周囲の人の存在があってこそ成り立つのだと改めて感じさせられました。
「今日の心がけ」である「新しいことに挑戦しましょう」は、単なる意識の転換だけでなく、実際に体を動かしてみること、心を開いてみることの大切さを、身をもって示してくれるような言葉です。
少しの勇気が人生を豊かにしてくれるというメッセージが、さりげなくもしっかりと伝わってきました。
否定的な感想
この話にはやや「成功物語」的な都合の良さが目立つ印象も否めません。
たまたま打席でヒットを打てたからこそ「やってよかった」という結論に至っていますが、もしその経験が失敗に終わっていたら、Aさんの気持ちはどうだったのでしょうか?
結果が伴わなければ「やっぱり苦手だった」となっていた可能性もあり、そうなると「挑戦」の価値が安易に相対化されてしまいます。
また、「食わず嫌い」という表現が暗に否定的な意味を含んでいるため、「避けていること=悪」「やってみること=善」という構図になりがちなのも気になります。
誰もが新しいことに前向きになれるわけではなく、体質的な理由や過去のトラウマなどで避けている場合もあります。
そのような複雑な背景を一切省略して、「とにかくやってみよう」と勧めるのは、少し一面的な見方に感じました。
挑戦を勧めるならば、そのハードルの高さや個人差にも寄り添う必要があるのではないでしょうか。
「挑戦しないのは損だ」というニュアンスではなく、「挑戦できたならそれは素晴らしい」という優しい視点で語られたら、もっと多くの人の心に届くのではと感じました。
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