違って当たり前
今年三月の訪日外国人数は約三百五十万人に達し、前年同月比で一三・五%の増加を記録し、三月としては過去最高の数字を記録しました。
このような状況の中、主要な駅や空港、繁華街など、様々な場面で外国人旅行者の姿を目にする機会が増えたようです。異文化交流が活発になる一方で、文化や価値観の違いから、日本人との間に誤解やトラブルが生じることもあります。
国が違えば、そこで暮らす人々の価値観や習慣が異なるのは当然でしょう。違いを一方的に否定してしまえば、摩擦や不快感しか生まれません。互いが気持ちよく生活するには、相手の文化や価値観を理解しようとする姿勢が求められます。
この考え方は、国際交流に限らず、私たちの職場や日常生活にも当てはまります。人はそれぞれ異なる人生経験を持ち、世代、性別、職場でのキャリア、担当業務などによって、物事の見方や価値観は大きく異なります。
違いを対立の原因とするのではなく、多様性があるからこそ、新しいアイデアが生まれ、組織や社会が活性化していくのだと、前向きに捉えていきましょう。
今日の心がけ◆互いの違いを理解し合いましょう
出典：職場の教養10月号
感想
この文章が提示している「違って当たり前」という姿勢には、深く共感しました。
異文化の中で育った人々が集まる現代において、違いを恐れるのではなく、それを理解し受け入れようとする姿勢は、社会的成熟の証だと思います。
特に「互いが気持ちよく生活するには、相手の文化や価値観を理解しようとする姿勢が求められます」という一文には、相互理解の根本にある“尊重”が見えてきて心を打たれました。
外国人観光客が増加する中で、ただ不満を口にするのではなく、その背景にある文化や価値観に目を向けること。
それは他者への想像力を鍛える営みであり、自分自身の内面の豊かさにもつながるのではないでしょうか。
また、この視点を国際交流にとどめず、職場や日常生活にも適用する発想には大いに納得します。
同じ日本人同士であっても、立場や経験によって価値観が異なるのは当然であり、それを認め合うことこそが、健全な人間関係や組織の活性化の基盤となると改めて感じました。
今日の心がけとして提示されている「互いの違いを理解し合いましょう」は、一見ありふれたメッセージに思えるかもしれませんが、実際に実行しようとすればするほど難しく、だからこそ価値がある一言だと思います。
否定的な感想
この文章は「違いを理解すること」の大切さを強調するあまり、現実の中で起きている問題の複雑さをやや見過ごしているようにも感じました。
例えば、急激なインバウンドの増加によって生じている具体的な摩擦やトラブル――観光地の混雑、マナーの違いによる地域住民のストレスなど――については、触れられていません。
理想論としての「理解し合うこと」はもちろん重要ですが、それだけでは現場で生じている苛立ちや疲弊には対処しきれない現実があります。
また、すべての違いが「新しいアイデアの源」になるという前提には、少し疑問も残ります。
価値観の違いが激しく対立を生む場面もありますし、そこでは時に“すり合わせ”ではなく“断絶”が必要な場合もあるはずです。
異なる意見を尊重することと、全てを無条件に受け入れることは別問題であり、その線引きが曖昧なままだと、かえって混乱を招くことにもなりかねません。
寛容さは大切ですが、それと同時に、相手に理解を求めるだけでなく、ルールや共有すべきマナーについても明確にする必要があるのではないでしょうか。
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