まずは形から
日々の心の持ちようは、日常生活や仕事における行動の根幹です。〈明るく、落ち着いて毎日を過ごせたら〉と誰しもが思うのではないでしょうか。
しかし、平穏な心の状態を保つのは難しいものです。日々移ろう心を整えていくための一つの方法として、まずは形から入る方法が挙げられます。
今年の夏の甲子園に青森県代表で出場した弘前学院聖愛高校の原田一範(はらだ・かずのり)監督は、「目に見えて動かないもの」と「目に見えて動くもの」の二つを整えるという指導に当たっていると言います。
「目に見えて動かないもの」は、靴や衣服、備品などの身の回りにある物、「目に見えて動くもの」は、挨拶をする時のお辞儀の角度、食事や清掃の作法などを挙げています。
この二つを確認し、心を整える場として、毎日の朝礼が活用できます。衣服は整っているか、お辞儀の角度やテンポは揃っているかなどを皆で確認しながら意識して行なうことで、日々の仕事に向かう心を整えていきたいものです。
今日の心がけ◆普段の行動から心を整えましょう
出典:職場の教養11月号
感想
「まずは形から」というアプローチは、一見すると表面的な印象を与えるかもしれませんが、実は人間の心と行動の深い関係性を突いていると思います。
心を整えようとしても、内面だけを見つめ続けるのは難しい。
そんなときこそ、「外から内へ」という順序は実用的であり、継続可能な心の保ち方でもあります。
原田監督の指導にある「目に見えて動かないもの」と「目に見えて動くもの」という分け方は非常に明快で、実生活にもすぐに取り入れられる知恵だと感じました。
靴の揃え方やお辞儀の角度ひとつで、自分や周囲の空気が引き締まり、自然と心も整うという感覚は、私自身の体験とも重なります。
また、朝礼のような日常の決まった場を、形式的な時間ではなく「心を整える装置」として再認識する視点は、とても価値あるものです。
「心を変えよう」と思うと、どうしても抽象的で遠く感じられてしまいますが、「まず靴を揃える」「姿勢を整える」という具体的な行動は、誰でもその場から始められる優しい入り口です。
こうした実践の積み重ねが、結果として心を安定させ、日々の生活をより丁寧に生きることへとつながっていくのだと強く感じました。
否定的な感想
「形から入る」ことが万能の方法であるかというと、そこにはやや疑問も残ります。
形を整えることで心も整うという考え方は、確かに理にかなっていますが、心が深く疲れているときや、感情の整理がつかない状況では、かえって「形を整えなければならない」というプレッシャーが、さらにストレスを生むこともあります。
また、朝礼などで「お辞儀の角度」や「衣服の整い具合」を皆で確認し合うという習慣が、場合によっては同調圧力のように働いてしまい、個々の自由な心のあり方や表現を狭めてしまう危険性も否定できません。
形式が形式のために存在し始めると、本来の目的である「心を整える」という本質が置き去りにされてしまうリスクもあるのです。
さらに、外から整えるアプローチに依存しすぎると、自分の内側の不安や違和感を「とりあえずの整理整頓」で見ないようにしてしまうという、ある種の自己欺瞞にもつながりかねません。
形を整えることと、心に誠実であることのバランスを常に意識していないと、この方法もまた機械的な行為へと変質してしまう恐れがあると感じました。
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