初心に返る
元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏は、二十三歳で刑事となり、地域の安全のために三十一年間、刑事として、最前線で捜査にあたってきました。
秋山氏は、警察官を追ったドキュメンタリー番組「警察二十四時」にも登場し、個性的な髪形が印象的な「リーゼント刑事」として知られています。
秋山氏が刑事になろうと決意したのは、小学校四年生の時でした。自分の部屋で寝ていたところ、深夜に窓ガラスが割れる音が聞こえ、家の中に泥棒が入ってくる気配を感じました。幸いにも父親が気づき、泥棒は逃げていきました。
ところが秋山氏は、あまりの怖さに震えが止まりませんでした。そこへ捜査に来た刑事が、「おっちゃんが必ず逮捕する。安心せい」と声をかけてくれました。その瞬間、〈刑事になって町の安全は自分が守る〉と決意したのです。
何かを始めるときには、それぞれにきっかけがあるものです。就職した時の思い、資格取得を目指した時の志など、もし挫けそうになった時には、その原点を思い出すことで、再び力が湧いてくるはずです。
今日の心がけ◆原点を振り返りましょう
出典:職場の教養12月号
感想
このお話には、初心に返ることの力強さと、その大切さが詰まっていて、読後に胸がじんわりと温かくなりました。
秋山氏のエピソードがとても印象的で、ただ「有名な刑事」として紹介されるのではなく、小学生時代の恐怖体験と、それに続く刑事からの一言が彼の人生の原点であることが丁寧に描かれており、読者の心にも真っ直ぐに響きます。
「おっちゃんが必ず逮捕する。安心せい」という言葉には、職務を超えた人間としての責任感と優しさがにじんでいて、その場にいた少年の不安を一瞬で安心に変えた力を感じました。
また、この話は単に美談として語られるのではなく、「私たち自身の原点を見つめ直すきっかけ」として自然に接続されていて、その構成がとても上手いと感じます。
誰しも、初心に込めた想いや決意があったはず。だからこそ、「もし挫けそうになった時には、その原点を思い出すことで、再び力が湧いてくるはずです」という言葉には、偽りのない説得力があります。
今日の心がけ「原点を振り返りましょう」は、ありきたりに見えて、その実とても深く、自分を立て直す強いヒントとなる言葉です。
否定的な感想
この文章は秋山氏の経験をあまりに理想化しすぎていて、現実とのギャップを感じる読者もいるのではないかと思いました。
小学生のときに受けた衝撃と、そこから芽生えた正義感が長年のキャリアへと繋がったという流れは確かに美しいですが、人生がここまで一本の筋道で貫ける人はごくわずかです。
多くの人にとって、初心はどこかで見失われたり、形を変えたりしてしまうものです。
また、「原点を思い出せば、再び力が湧いてくる」と断言されると、それができない人にとってはむしろプレッシャーや自己否定につながってしまう恐れもあります。
原点が不明確だったり、思い出しても今の状況と折り合わない人もいるはずです。
だからこそ、「初心に返ること」だけが前進の方法であるかのようなメッセージには、もう少し柔らかい配慮が欲しかったと感じました。
原点に立ち返ることも一つの方法だけれど、今の自分を受け入れ直すという選択肢も、同じように大切だと思います。
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