手を広げすぎない
「あれもこれも」と欲張った結果、結局は何も得られないことを、「二兎を追う者は一兎をも得ず」や「虻蜂取らず」といったことわざで表わします。どちらも、欲を出しすぎると失敗につながるという教訓を含んでいます。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、ヨーロッパで広く使われていた表現で、幕末期にオランダ語、フランス語、英語などを通じて日本に伝わったとされます。
明治十三年頃には修身の教科書にも登場し、西洋由来であることは意識されず、日常的に使われるようになり、現在では一般的なことわざとして定着しています。
一方で、これに押される形で徐々に使われなくなったのが「虻蜂取らず」です。諸説ありますが、「虹」と「蜂」の両方を捕らえようとして、結局どちらも逃してしまったのは「蜘蛛」であるという説もあります。
これらの対義語としては、「一石二鳥」や「一挙両得」などが挙げられます。しかし、仕事においては、あれもこれもと手を広げすぎるよりも、目の前の一つひとつの課題に丁寧に向き合うことが、結果として確実な成果につながるのです。
今日の心がけ◆一つの物事に集中して取り組みましょう
出典:職場の教養1月号
感想
この話からは、「選ぶこと」の大切さが静かに、しかし確かな重みをもって伝わってきました。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざは誰もが一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、そこにある“焦点を絞ることの強さ”を改めて意識させられました。
特に、現代社会においてはマルチタスクや情報過多が常態化しており、「あれもこれも」と欲張ってしまう誘惑がそこかしこにあります。その中で、意識的に一つに集中するという姿勢は、ある種の覚悟や勇気さえ必要とされるのです。
また、「虻蜂取らず」という日本固有のことわざが、「二兎を追う~」に押されて使われなくなったという文化的な背景も興味深く、言葉の選択が時代とともに変わっていく様子から、価値観の変遷までも感じ取れました。
表現の選択には文化の影響があり、単なる意味の違いだけでなく、時代性や地域性が反映されている。
こうした視点を持つことは、言葉を使う上でもとても豊かさを与えてくれると感じました。
「今日の心がけ」にある「一つの物事に集中して取り組みましょう」という言葉は、私たちが成果を急ぐあまり、かえって非効率な行動に陥ってしまう現代の矛盾に対する、静かな警告でもあると思います。
急がば回れ、という言葉もまた響いてきます。
否定的な感想
この話の中でやや物足りなさを感じたのは、集中することの重要性が繰り返される一方で、「なぜ人は手を広げたくなるのか」という根源的な心理や背景には踏み込まれていない点です。
多くの人が複数の物事に同時に取り組もうとするのは、単なる欲の問題ではなく、将来の不安や周囲との競争、あるいは「今しかできないこと」への焦りなどがあるはずです。
そうした複雑な動機を無視して、ただ「一つに集中すべき」と言い切ってしまうのは、少し現実の重みを軽視している印象を受けました。
また、「一石二鳥」や「一挙両得」が対義語として挙げられていますが、これらの言葉は必ずしも欲張りとは限らず、戦略的に複数の成果を狙う合理的な思考とも捉えられます。
「手を広げること=悪」という単純な二元論ではなく、「広げ方」や「順序立て」が鍵であるといった、もう一歩踏み込んだ考察があれば、より深みのある内容になったように思います。
結局のところ、集中と分散のどちらにも適切な場面があります。
一つの物事に集中することが必要なときもあれば、あえて手を広げることで新たな可能性を見出すこともある。
そうした柔軟な視点が加わることで、「今日の心がけ」にも一層の説得力が生まれたのではないかと感じました。
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