ローリングストック
自然災害などの緊急事態が発生した際、欠かせないのが日頃の備えです。
会社の損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための事業継続計画は整えていますか。特に、災害時にまず直面する、食の備えはいかがでしょうか。
普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限の古いものから消費して買い足すことで、常に一定量を備蓄する方法を「ローリングストック」と言います。
自宅でも職場でも、災害時専用の「非常食」だけでなく、日常でも使用でき、災害時にも使えるものをバランス良く備えることが大切です。その際、賞味期限切れや、使用後の補充漏れはないか、定期的に確認しましょう。
他にも、ペットボトルの飲料水、ウエットタオル、カセットボンベ、乾電池、食品用ラップフィルム、使い捨てカイロなども保存食と同様、ある程度の分量を常にストックしておくと、突然の災害時に役立ちます。
大切なのは、平常時から災害のリスクを念頭に置く、心の備えです。〈自分の身は自分で守る〉という自助意識を高めたいものです。
今日の心がけ◆物の備えを点検しましょう
出典:職場の教養5月号
感想
このお話は、日常と非常時の間に橋をかけるような、実に現実的かつ有益な提案をしています。
特に「ローリングストック」という考え方は、従来の「非常時専用の備蓄」という発想から一歩進んで、日常に備えを溶け込ませる点で、非常に合理的で実行しやすいと感じました。
私たちはつい「備え」というと特別な行為に感じがちですが、普段の生活の延長線上にそれを組み込むというのは、無理なく継続できる素晴らしい方法です。
さらに、食品や水だけでなく、ラップフィルムといった、災害時に盲点になりがちなアイテムにも言及している点に誠実さと配慮を感じます。
「自助意識を高めたい」という締めくくりの言葉も響きます。
社会や行政に頼る前に、自分自身の備えが第一であるというメッセージは、まさに現代に生きる私たち全員に求められる心構えです。
「今日の心がけ」にあるように、物の備えを点検することが、同時に自分の意識を見直す行為にもなるのだと気づかされました。
否定的な感想
この文章にはやや理想的すぎる側面もあると感じました。
ローリングストックは確かに有効ですが、現実には日常の忙しさや予算の都合で、定期的なチェックや買い足しが難しい家庭も多いはずです。
特に経済的に余裕のない人たちにとって、「普段より多めに買い置きする」という行為自体が負担になる場合もあります。
また、あれもこれもと列挙されているストックアイテムの数々は、理想的ではあるものの、全部を管理し続けるにはかなりの手間と意識の高さが求められます。
それができる人はごく一部であり、現実には「わかっていても実践できない」人々が大多数なのではないでしょうか。
「自分の身は自分で守る」という言葉も、自己責任の重さを強く印象づけるため、受け手によってはプレッシャーを感じてしまうかもしれません。
備えるべきだという呼びかけは重要ですが、それを押しつけのように受け取らせない工夫や、もっと現実的な実践例の紹介があれば、より共感を得られたと思います。