対話からの学び
仕事を進めていく中で、「右に進むか、左に進むか」といった判断を迫られる場面に遭遇します。決断を迫られると、誰しも少なからず迷うものです。
中間管理職のTさんは、ある日、上司から指示された仕事をどう進めればよいのか分からず、悩んでいました。そんな時、部下の一人が声をかけてきました。
事情を聞いた部下は、話し合いながら対策を練ることを提案しました。そして、彼が質問し、Tさんがそれに答えていくという形で、やり取りが始まりました。
まず「仕事の目的と目標は何か」という問いから始まり、次に「目標達成に必要な情報は何か」「求められる行動は何か」と、質問は段階的に進んでいきます。
さらに、「必要事項の伝達方法」「計画の進捗状況の確認方法」「職場環境の整備」といった内容にまで話は及び、最終的には、計画が無事にまとまりました。
Tさんが「なぜ、このように考えられるのか」と尋ねると、部下は「Tさんからの指示は、いつもこのように整理して考えて進めています」と答えたそうです。
考え、悩むにも順序や手順があることを、部下との対話で学んだTさんでした。
今日の心がけ◆適切な業務計画を立てましょう
出典:職場の教養10月号
感想
この話を読んで心に残ったのは、「対話が思考を整理する手段になる」という点です。
Tさんのように、経験のある中間管理職であっても判断に迷うことはある。
しかしその迷いを一人で抱え込まず、部下との対話を通じて解きほぐしていく過程は、とても人間らしく、また職場の健全なコミュニケーションの在り方を象徴していると感じました。
特に印象的だったのは、部下の問いかけが段階的で、実に理にかなった展開をしていたこと。
これは単なる情報の整理ではなく、「共に考える」という姿勢が現れている証でもあります。
Tさんが最後に「なぜこのように考えられるのか」と尋ねた問いに対して、部下が「Tさんの指示がいつもそうだから」と答えた場面には深い感動があります。
これは、部下がTさんの姿勢や思考法を日頃から見て学び取っていた証でもあり、指導する立場の人間がいかに日常的に影響を与えているかを物語っています。
「今日の心がけ」にある「適切な業務計画を立てましょう」という言葉も、単にタスクを組み立てるだけでなく、こうした思考の流れや対話の中で構築される計画の重要性を示唆していると受け取りました。
否定的な感想
この話には理想的すぎる側面も感じられました。
現実の職場では、上司と部下がこのように理路整然と冷静に対話を交わすことが必ずしも容易ではありません。
部下がこれほど主体的に問いかけ、かつ的確に話を導く力を持っている職場環境は、むしろ希少ではないでしょうか。
多くの現場では、上司の戸惑いを察しても、指摘や提案を口にすることすら躊躇われる空気があるものです。
その意味で、この話は「理想的なコミュニケーションモデル」ではあっても、現実的な処方箋としてはやや抽象的に感じられました。
また、Tさんの悩みが漠然としすぎている点も気になりました。
どのような業務だったのか、なぜ一人では進められなかったのかという背景が語られないまま、対話だけが美しく整えられている印象があり、話にリアリティが欠けてしまっています。
人間の迷いや葛藤にはもっと感情的な揺れがあるはずで、それが描かれていないことで、読者としての共感がやや薄れてしまいました。
対話は確かに重要ですが、それが機能するには信頼関係や職場風土など、多くの要素が必要であることも忘れてはならないと思います。
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