ロケット野郎
六月二十九日未明、二十年以上にわたって日本の宇宙開発を支え続けた主力ロケット「H2A」の最終号機が無事打ち上げに成功しました。
幾多の困難を乗り越え、成功率九十八%という高い実績を築き上げた瞬間、関係スタッフからは大きな歓声が上がり拍手に包まれました。
なかでも唯一失敗した六号機の打ち上げ後、再発防止の責任者を務めた三菱重工業の元技術者の浅田正一郎さんは、展望台で成功を見届けながら、なにものにも代えがたい喜びの瞬間を迎えました。
自らを「ロケット野郎」と称した浅田さん。「失敗は神様の贈り物」を自身の信条とすると共に、部下たちにも「失敗は自分たちの考えが及ばなかったことに気づかせてくれる。それを改善すれば次は必ずうまくいく」と励まし続けました。
仕事に失敗はつきものです。しかし、いつまでも失敗を悔やみ、落ち込んでいては次の扉は開かれません。「失敗は成功の母、貴重な財産」との言葉通り、失敗を糧に新たなる一歩を踏み出していきましょう。
今日の心がけ◆失敗をチャンスと受け止めましょう
感想
「ロケット野郎」という呼び名に、どこか昭和的な情熱と、泥臭くも誠実な技術者魂が滲んでいて胸が熱くなりました。
H2Aロケットの最終号機の打ち上げ成功というニュースは、日本の宇宙開発における一つの時代の終わりを意味すると同時に、積み重ねてきた努力と信頼の結晶のようでもありました。
成功率98%という驚異的な記録の背後には、数えきれないほどの試行錯誤と、誰にも知られぬ小さな改良、そして幾度もの失敗があったはずです。
そのひとつひとつに向き合ってきた浅田さんの姿勢、「失敗は神様の贈り物」という信条は、まさに技術者としての哲学であり、人としての器の大きさを感じさせます。
特に印象的だったのは、失敗の後に責任者として再発防止に尽力し、それでも「次は必ずうまくいく」と部下に言い続けた姿。
多くの人が萎縮し、言葉を失いがちな局面で、未来に希望を託し、信じ抜いたからこそ今の成果があるのだと思います。
「今日の心がけ」にあるように、失敗をチャンスと捉えるという姿勢は、技術の世界だけでなく、日常生活や人間関係にも通じる普遍的な教訓です。
簡単なようでいてとても難しいこの姿勢を、浅田さんのように信念として持ち続けることが、何かを極める上で不可欠なのだと深く感じました。
否定的な感想
「失敗をチャンスと受け止めよう」という言葉が、あまりにも美化されすぎているようにも感じました。
浅田さんのように結果を出した人だからこそ、その言葉に重みがあり、説得力もある。
しかし、失敗が何度も続く現場や、組織内で評価や予算に直結するような職場では、「失敗は貴重な財産だ」と悠長に構えていられない現実もあります。
ましてや現代の働き方においては、一度の失敗が大きな責任を問われたり、即座にポジションを失うようなことも珍しくありません。
そのような厳しい環境に身を置いている人にとって、このような理想的なメッセージはかえって重荷になってしまう可能性もあります。
また、「失敗を受け入れる」という姿勢は、裏を返せば「結果に対して鈍感になる」リスクもはらんでいます。
失敗の真因を見極めるためには、冷徹な視点や厳しい検証が必要です。
そこに「失敗は神様の贈り物」などという精神論が過度に入ってくると、反省の本質がぼやけてしまうこともあるのではないでしょうか。
実際に技術者たちが何をどこまで検証し、どう乗り越えたのか、その過程を具体的に見せていくことの方が、次世代には有益なのではないかという思いも拭えません。
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