禍を転じて福となす
本日は幕末の激動期に生まれ、第二十代内閣総理大臣を務め、日本の近代化の礎を築いた一人である高橋是清の生誕日です。
是清の大きな功績として、「特許制度」の制定があります。当時、アメリカ人の通訳を務める中で、日本には発明や商標を保護する制度がないことを知らされました。
そこで調査、研究を重ねていき、特許制度の制定に尽力したのです。また、日本の命運がかかった日露戦争では莫大な戦費が必要でした。
そこで流暢な英語でアメリカの銀行家に日本の窮状を訴え、資金調達に成功したのです。是清が英語を話せたのは、十三歳の時に藩の命によりアメリカへ留学したことがきっかけでした。
当初、世話役に騙され奴隷のような扱いを受けていました。しかし、もともと楽天的な是清は、それも一つの学びの場と捉えます。生きた英語を貪欲に吸収し、結果として流暢に話せるまでに成長したのです。
私たちも、思い描いていた環境と異なる状況に直面することがあります。まずは現状をじっくりと観察し、置かれた場所でベストを尽くしたいものです。
今日の心がけ◆ベストを尽くしましょう
出典:職場の教養9月号
感想
この話を読んで、私は、置かれた環境そのものよりも、その環境から何を得ようとするかが、その後の人生を大きく左右することがあるのだと感じました。
高橋是清が若くしてアメリカへ渡り、思い描いていた留学生活とは大きく異なる厳しい状況に置かれながらも、そこで英語を身につけていったという経験は特に印象に残ります。
その時に得た力が、後の日露戦争における資金調達などにつながったという展開からは、若い頃の経験が思いがけない形で将来に活かされることがあると感じます。
仕事でも、希望した部署ではなかったり、予定していた仕事ができなかったりと、自分では選べない状況に置かれることがあります。
その時、不満だけで終わるのか、「ここで身につけられるものは何だろう」と考えるのかで、経験の意味は変わってくるのでしょう。
今している努力がいつ役立つのかは、その時には分からないこともあります。
だからこそ、環境が理想と違っていても、目の前から学べるものを見つけ、自分のできることに力を尽くす姿勢を大切にしたいと感じました。
否定的な感想
この話で気になったのは、高橋是清がアメリカで奴隷のような扱いを受けた経験を、「学びの場」と捉えたという部分です。
本人が厳しい経験から何かを学び取ったことには意味がありますが、不当な扱いや搾取まで「置かれた場所でベストを尽くす」という教訓に結びつけると、苦しい環境に耐えること自体が美徳であるように受け取られる可能性があります。
現代の職場で考えれば、明らかに不当な環境から離れたり、周囲に助けを求めたりすることも大切な選択だと思います。
また、特許制度の制定や日露戦争時の資金調達といった大きな功績が、若い頃の英語習得と一本の線で結ばれているため、是清がその間に重ねた経験や努力が少し見えにくくなっているようにも感じました。
人生では、一つの苦労がそのまま成功につながるほど単純ではないでしょう。
「置かれた場所でベストを尽くす」と同時に、その場所にとどまるべきかを冷静に判断することも必要です。
環境を受け入れる力と環境を変える力、その両方を持つことが、現実における「ベストを尽くす」姿勢なのではないかと感じました。
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