日本が世界に誇る建造物の1つに五重塔があります。現存する世界最古の木造建築である法隆寺の五重塔をはじめ、各地に数多く建立されています。
五重塔は地震で倒れた事例がほとんどありません。「心柱」という真中の大きな柱を中心に揺れを吸収する「柔構造」で建てられたからと推測されています。 江戸時代に建立された五重塔の心柱に至っては、柱が地面から浮いていて、「不安定の安定」という柔構造の特徴を如実に表わしています。
翻って、私たちの思考も「あなたはこうだ」「部下にはこうあるべきだ」と決めつけて相手を見ると、見方としては安定しているようでも、あくまでも決めつけなので、関係性は不安定になりやすいものです。
反対に、人の感情や考え方、状況は変化するものとして、不安定な要素を受け止め、相手に合わせていくと、関係が安定することもあります。
「それが絶対」という見方は、人の感情や考え方の変化をとらえられなくなります。柔軟な思考と受容する懐の深さを養いながら、仕事に取り組みたいものです。
今日の心がけ◆柔軟な考え方で受容しましょう
出典:職場の教養 2024年3月号
感想
五重塔の柔構造が地震に強い建造物として知られていますが、その構造が人間関係や思考にも示唆を与えるというのは興味深いです。私たちの思考や人間関係も、柔軟性と受容性が重要であり、硬直した考え方や決めつけは関係を不安定にする可能性があることを考えさせられます。
他者を決めつけず、柔軟な姿勢で接することで、相手との関係がより良い方向に進むことがあります。また、変化を受け入れる心の広さが、新しいアイデアや解決策を見つけるための土壌になることもあります。
五重塔の柔構造から得られる教訓は、物理的な安定性だけでなく、人間関係や思考においても重要なものであり、柔軟性と受容性を大切にすることが、より良い関係を築くための鍵であると感じます。