2024年8月21日(水) 役に立つ学問

学問には様々な分野がありますが、医学・法律学・経済学・工学といった、社会生活で実際に役立つ学問を「実学」と呼びます。

時代や国によって「実学」の具体的な範囲は異なりますが、明治以降の日本における「実学」は、欧米近代文明を基礎としたものが中心となり、伝統的な和学や儒学などは「実用に値しない」と排斥すらされる方向に傾いていきます。

現代は、利益につながる「手段」といったものは重宝されますが、そうしたもの以外は「実用性が低い」と括られ、重要視されない風潮があります。

しかし、直接的な関わりを持たなくても、突き詰めたり意味を広げたりするならば、どのような分野であれ「世の中の役に立たない」学問などないはずです。

役に立つかどうかは「学問」そのものの「分野」ではなく、学んだことを活かす行動を起こせるか否か、すなわち学んだ「本人」にかかっています。

知識の集積が学ぶことの目的となっては「実学」とは言えません。学んだことを社会にどれだけ還元できるかを意識して生活したいものです。

今日の心がけ◆学んだことを社会で活かしましょう

出典:職場の教養8月号

感想

この話は、「学問の価値」や「実学の意義」について考えさせられる内容でした。学問は社会で役立つものが重要視されがちですが、この話は、そのような視点だけでは捉えきれない学問の幅広い価値を強調しています。特に、どの分野であっても学びを社会に還元することの重要性を説いている点が印象的です。

個人的には、この考え方に非常に共感しました。お話にもありましたが、現代社会では「実用性」が重視される一方で、文化や歴史、哲学など、直接的には役立たないとされる分野が軽視される傾向があります。しかし、そうした学問こそが人間性を豊かにし、社会の土台を支えるものだと感じます。

この話が指摘するように、学びを社会でどう活かすかは、学ぶ本人の意識次第です。知識を得ること自体が目的ではなく、その知識をどのように使い、社会に貢献するかが本当の意味での「実学」だという考えは、非常に重要であり、多くの人が意識するべき点だと思います。

「学んだことを社会で活かしましょう」という心がけも、学ぶことの意義を再認識させる力強いメッセージだと思いました。

否定的な感想

「学んだことを社会で活かしましょう」とのことですが、学問の価値を「社会に還元できるかどうか」で測ることは、学問の本来の自由な探求精神を損なう可能性があります。知識を社会に還元することを過度に意識しすぎると、純粋な好奇心や学問への情熱が二の次になり、研究が利益や実用性に偏る危険性があります。

さらに、「学びを社会で活かす」という言葉は一見正論のように聞こえますが、それをどのように具体的に行動に移すかについては曖昧です。学問を学んだ人すべてが社会に還元できるわけではなく、むしろその過程で挫折したり、自分の専門が思ったほど社会に役立たないと感じる人も少なくないでしょう。この点で、学問の成果を社会でどう活かすかについての具体的な指針や支援が欠けているように思われます。

総じて、この話は理想論に終始している感があり、現実的な視点が不足していると感じます。