2024年8月22日(木) 家訓

F氏は、二十歳の時に父親から手渡された一枚の便箋を、三十年経った今でも大切に保管しています。

それは、祖父が書き残した家訓で、青インクのペン字で「天を敬い、祖先を崇め、人を愛し、他人には寛容で、自己には厳格にして、生活力旺盛で社会のためになる人となれ」と記してあります。

祖父は、この家訓を父親に示す時、「人間は、物と心のどちらか一方が欠けてもよくない。この家訓は、人間性を創ることと生活を大事にすることとの両方を主眼として作った」と言ったそうです。

自分の人生を振り返る時、F氏は、この家訓が職場での働き方や人間関係の築き方、そして生き方の指針になっていることを実感しています。

F氏は、このような家訓を作り伝えてくれた祖父への感謝を、これからも忘れないように心がけるとともに、自分の子供にも祖父の家訓を伝えていこうと決意しました。

今日の心がけ◆親や祖先の思いに心を向けましょう

出典:職場の教養8月号

感想

おじいさんが残してくれた家訓は、まさに普遍的な人間としてのあり方を示していて、単なる教えにとどまらず、F氏にとって人生の羅針盤のような存在になっていることがよく分かります。

特に、「人間は、物と心のどちらか一方が欠けてもよくない」という言葉は、現代社会において見失われがちな心の豊かさの大切さを教えてくれると感じました。物ばかりを追い求めるのではなく、心の成長を大切にすることの重要性を再認識させられました。

今日の心がけ「親や祖先の思いに心を向けましょう」は、まさに今回の話に通じるものがあります。

親や祖先の言葉には、子どもの頃や若い頃には意味がよく分からなかった、分かってはいても反発心から受け入れられなかったものなどがありました。ですが、大人になった今では深い愛情と人生経験が込められていることが分かります。それらの言葉に耳を傾け、心に留めることで、私たちはより豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。

また、F氏のように、自分自身の子供たちにも、大切なことを伝えていきたいという気持ちも強くなりました。言葉には、人を動かす力があります。良い言葉を伝え、良い影響を与えられるような人間になりたいものです。

否定的な感想

祖父の時代と現代では社会状況や価値観が大きく変化しています。全ての家訓が現代においてもそのまま当てはまるかどうかは、慎重に検討する必要があるかもしれません。

また、家訓に過度に縛られてしまうと、新しい価値観を受け入れることができなくなり、自己成長の妨げになる可能性もあります。家訓は、確かに人生の羅針盤となる素晴らしいものですが、同時に、柔軟な思考と自己の判断も必要不可欠です。

重要なのは、家訓を絶対的なものとして捉えるのではなく、自分にとって何が大切なのかを考え、自分らしい生き方を見つけることだと思います。