2024年9月3日(火) 退いた後に

長年勤めた仕事を退く時、引き際のあり方が大切です。

K氏は家業を継ぐために上京して修業し、二十代後半で帰郷して九州にある父親の会社に入社、四十歳を目前にして会社を継ぎました。

父親は現役時には仕事に厳しい人で、色々と注意を受けましたが、社長を退任してからは、何も口出しせずに徹底してK氏を見守ってくれました。「私は先代に恵まれた。おかげで意欲的に仕事に打ち込めた」と、K氏は振り返ります。

会社経営に限らず、立場を更新に譲る場面があります。その際に丁寧に仕事を引き継ぐことが大事です。これが不十分では組織が成り立ちません。

しかし、その後はどうでしょうか。良かれと思って発した言葉が、相手の成長を阻むケースもあります。過剰に口出しするか、それとも信じて任せるか、退いた後の言動が、後進のやる気や成長を大きく左右するのかもしれません。

後輩を思うのであれば、その力を信じて仕事を任せきってはどうでしょうか。その信頼の行為が人を育て、企業の発展につながる側面も多いはずです。

今日の心がけ◆信じて見守りましょう

出典:職場の教養9月号

感想

会社経営に限らず、組織においては、世代交代や役割の移譲が頻繁に起こります。この際、スムーズな引き継ぎがいかに重要か、改めて考えさせられます。K氏の父親のように、完全に手を引くのではなく、適度な距離感を保ちながら見守る姿勢が理想的だと感じます。

また、「良かれと思って発した言葉が、相手の成長を阻む」という点は、多くの組織で起こりうる問題です。経験豊富な先輩のアドバイスは確かに貴重ですが、過度な干渉は、後輩の自主性を奪い、成長の機会を奪ってしまう可能性があるのでバランスが重要です。

このお話を読んで、私は「成功する組織」とは何か、ということを深く考えさせられました。それは、単に業績を上げるだけでなく、人材育成にも力を入れている組織ではないでしょうか。K氏の父親のように、後進を育てることを喜びとし、組織全体の成長に貢献するようなリーダーシップが求められていると感じます。

否定的な感想

「信じて見守る」ことは大切ですが、全ての状況において最適な方法とは限りません。後進の能力や性格、会社の状況など、様々な要素を考慮した上で、適切な指導方法を選択する必要があります。

K氏のケースは、父親が全面的に見守ったという特殊な状況下での成功例です。これを一般化し、全てのケースに当てはめると、かえって後進の成長を妨げる可能性があると思います。例えば、新入社員が全く仕事の手順が分からずに困っている場合、ただ見守っているだけでは、彼らが成長する機会を失ってしまうかもしれません。

「信じて見守る」ことと「放任する」ことは、似ているようで全く異なる概念です。この両者を混同してしまうと、後進の成長を妨げたり、組織に混乱をもたらしたりする可能性があるので気を付けなければなりません。