T社長は、かつて社員からの提案を会社への不満や社員のわがままとして捉えていたと振り返っています。
その頃は、社員の定着率が低く、頻繁に人の入れ替わりがありました。社員が去るたびに、T社長は心の中で「こんなに待遇を良くしているのに、なぜ不満を言うのか」「文句を言う前にもっと働け」と感じていたと言います。
T社長が尊敬する経営者に溜まった不満を打ち明けたところ、共感を得るどころか意外な返答がありました。
「社員は皆、会社を良くしようとしている。彼らの話に耳を傾けてみてはどうか」とのアドバイスでした。「一人でできる仕事には限界がある」とも言われ、T社長は社員との向き合い方について新たな視点を得ました。
社員の言葉に耳を傾けて業務改革を行なったところ、退職者が減少し、業務の効率化が進み、結果として業績も向上しました。T社長は、「相手を信頼しなければ、仕事で協力できない」と実感したのでした。
今日の心がけ◆相手を信頼しましょう
出典:職場の教養9月号
感想
経営者自身も時に自己評価を行い、必要に応じて自身の考え方や行動を変える柔軟性が求められます。T社長のように、外部からの意見を受け入れ、自身の態度を変えることは簡単ではないと思いますがとても重要だと感じました。
意見や提案を否定的に捉えるのではなく、成長の機会として受け止めることで、より強固で適応力のある組織を作り上げることができるのではないでしょうか。
また、「相手を信頼しなければ、仕事で協力できない」という気づきは、経営者だけでなく、一般社員や対お客様にも言えることで、信頼関係を基盤とした協力体制を築くことで、個々の能力以上の成果を生み出せると思います。
否定的な感想
この話は、複雑な組織の問題を過度に単純化している可能性があります。現実の企業では、単に社員の意見を聞くだけで劇的な改善が起こることは稀で、多くの要因が絡み合っているはずです。
経営者と従業員の間には本質的な権力の不均衡があり、単に「耳を傾ける」や「信頼する」だけでは、この構造的な問題は解決されない可能性があります。
また、T社長は、社員の提案を受け入れなかったことだけを問題視しているように見えますが、本来の経営者としての責任能力やビジョンの欠如については問題がなかったのが、という点が考慮されていません。