人間は一般に、数字に基づいて事実を理解するのが苦手です。
例えば、ある実験では被験者にくじ引きをしてもらい、当たりが出れば賞金を与えるというものでした。被験者は、二つの箱のどちらかからクジを選びます。
一方の箱には100個のクジが入っており、そのうち9個の当たりが含まれています。もう一方には10個のクジが入っており、その中の1個が当たりです。計算すると、後者の箱から引いた方が当たる確率が高いことが分かります。
ところが、このような数学的事実に反して、多くの人が「9個の当たりがある」という理由で100個のクジが入った箱を選びました。これは、大きな数字に惹かれる心理が働いたためです。
私たちはしばしば、数学的な事実や論理(ロジック)を見落とし、統計よりも直感や個人の好みに基づいて決断を下すことがあります。
意思決定を行なう際には、単なる感覚や個人的な好みだけでなく、客観的な数値や事実を十分に考慮しているかどうかを確認したいものです。
今日の心がけ◆数字に親しみましょう
出典:職場の教養9月号
感想
ビジネスの成功には、客観的なデータ分析が不可欠ですが、数字を正しく理解する重要性を再確認させられます。
この実験の被験者が9個の当たりという「多い」数字に惑わされ、確率を誤解したように、私たちも表面的な印象に囚われることが多々あります。特に、データドリブンな意思決定が求められる現代のビジネス環境では、このような誤解が致命的な結果を招くこともあります。
この話は、日常的に数字に親しむことの価値を再認識し、データリテラシーを高める努力をするきっかけとなります。
日々の業務においても、データを積極的に活用し、理論的かつ客観的なアプローチで課題に取り組むことが、ビジネスの成功を導く鍵となると思いました。
否定的な感想
現実のビジネスシーンでは、必ずしもすべての意思決定がデータだけで解決できるわけではありません。データは重要なツールですが、それだけに依存すると、人間的な要素や直感が軽視される可能性があります。特に、イノベーションやクリエイティブなアイデアの領域では、データに表れない洞察や感性が重要です。
また、データの解釈にはバイアスが入りやすく、誤解を招くこともあります。例えば、データが十分に収集されていなかったり、分析が不十分だった場合、誤った結論に至るリスクがあります。データの質や分析の精度も大切です。
データに過度に依存することのリスクや限界を理解し、バランスの取れたアプローチを心がけることも必要だと感じました。