東京に住むAさんは、一年前に亡くなった母の墓参りのため、妻と娘を連れて四国の実家に帰省しました。中学生になる娘は、距離の問題もあり、亡き祖母と生前に多く話す機会がありませんでした。
Aさんは母の墓前で、娘に母がどのような人物であったか、自分が幼い頃の思い出や、結婚してから娘が生まれた時の話など、思い出を初めて語りました。
娘が中学生になってからはAさんとの会話が減っていましたが、母の墓前では、二人の会話は自然と弾みました。その日の夜、娘は祖母の写真を手に取りながら、静かに思いにふけっていました。
その時、娘は「私の命は一人の命ではないのね」とポツリと話したのです。亡き祖母とのつながりを感じながら、父と娘で新たな絆を深めていったのでした。
実家から戻ってからは娘との会話の機会が増えました。亡き母が私たちをつなげてくれたのだとしみじみと感じたAさんは、娘な繊細な感情を大切にしながら、しっかりと向き合おうと心に誓いました。
今日の心がけ◆命のつながりを大切にしましょう
出典:職場の教養9月号
感想
思春期の子どもとのコミュニケーションは難しくなりがちですが、Aさんのように適切な機会を見つけて対話を深めることが重要だと感じました。
娘さんが「私の命は一人の命ではないのね」と気づく瞬間は、この話の核心部分だと思います。
私たちは単独で存在しているのではなく、先祖からのDNAを受け継ぎ、その生き方や価値観の影響を受けています。同時に、私たちの行動や選択が未来の世代にも影響を与えるという事実を、改めて認識させられました。
また、「命のつながりを大切にする」という心がけは、家族間だけでなく、社会全体にも適用できる重要な視点だと感じました。次の世代へ繋げていけるように、より責任ある選択をしていくことが大切だと思います。
否定的な感想
Aさんが亡くなった母親の思い出を、墓前で初めて娘に語ったという設定に違和感があります。なぜ今まで祖母の話をしなかったのでしょうか。日常的なコミュニケーションの不足を感じます。
また、中学生の娘との会話が減っていたという点も気になります。思春期の子どもとのコミュニケーションの難しさは理解できますが、特別な機会があってようやく会話が増えたというのは、家族関係の脆弱さを示しているように思えます。
さらに、亡き母が家族をつなげてくれたという考え方は、生者の責任を軽視しているように感じます。家族関係の改善は、生きている家族成員の努力によってなされるべきで、亡くなった人にその役割を押し付けるのは適切ではないでしょう。