2024年10月5日(土) 橘と日本の伝統文化

橘は、別名ヤマトタチバナやニッポンタチバナと呼ばれる、日本固有のミカン科の常緑樹です。平安時代には、京都御所紫宸殿の庭に植えられ「右近の橘」と称され、また、寺社にも多く植えられるなど、古くから珍重されていました。

初夏に香り高い白い花を咲かせ、秋には橙色の実を結びます。「花橘」は夏の季語、「橘」は秋の季語であり、万葉集や古今集などにも多く詠まれています。

常に緑の葉が生い茂り、果実が比較的長い間枝に残る様子などから、長生きや繁栄を象徴する縁起の良い木とされています。源氏・平氏・藤原氏とともに四姓とされる橘氏をはじめ、多くの家紋の意匠に使われました。

また、文化は長く続くものであるとの考えから、文化勲章のデザインには橘が採用されています。五百円硬貨の裏面、「500」の数字の両サイドに添えられている植物も橘です。

身近な物にあしらわれたデザインからも、日本の伝統文化の一端を感じとることができるでしょう。

今日の心がけ◆身近な伝統文化に感心を持ちましょう

出典:職場の教養10月号

感想

伝統文化は、単に古いものや遠いものというだけでなく、私たちの生活の中に息づいているものです。それらに目を向け、その意味や背景を知ることによって、私たちはより豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。

例えば、五百円硬貨のように、身の回りのデザインにどのような意味が込められているのか、あるいは、地域の伝統行事にはどのような歴史があるのか、といったことを調べてみるのも面白いと思います。

現代社会において、伝統文化をどのように未来へと引き継いでいくのかは、重要な課題です。伝統的なデザインを現代のデザインに融合させたり、伝統工芸の技法を現代の素材に活かしたりするなど、多様な試みがなされています。

私たち一人ひとりが、できる範囲で伝統文化に関心を持ち、未来へ引き継いでいくことが大切だと感じました。

否定的な感想

橘の長寿や繁栄の象徴としての側面ばかりが強調されており、他の側面、例えば、古くから薬用として利用されていた、あるいは、単に庭木として鑑賞されていたなどが欠けており、情報が偏っていると感じられます。

橘を日本の伝統文化の象徴として過度に美化することで、日本文化に対するステレオタイプなイメージを強化している可能性があります。

「身近な伝統文化に感心を持ちましょう」というメッセージについても、伝統文化を盲目的に礼賛するのではなく、現代社会において伝統文化が果たすべき役割について、より深く議論する必要があるのではないでしょうか。