2024年2月1日(木) 恩師の言葉

恩師の言葉

高校3年のクラス会に出席したKさんは、担任であった恩師に卒業以来20年ぶりに再会することができ、その時の言動に心を動かされました。

会の終わりに挨拶に立った恩師は、30人ほどの教え子をゆっくり見まわしながら、前置きの言葉も控えめにして、「自分の利益にばかり走る人間が増えてきた。君たちは、そういう人間になってほしくない」と言ったのです。

人の生き方の根本とも思えることについて直言する恩師の言葉に、Kさんは身が引き締まる心地がすると共に、目標もなく何となく生きている自分が見透かされているようで恥ずかしくなりました。

恩師は言葉を続けました。「老いた身である私だが、これからも、利に走る世の中に抵抗して生きていくつもりだ。君たちには、正しいと思うことを勇気をもって実行し、他人に尽くす人間を目ざしてほしい。頼んだよ」。

端的で生気のあふれる挨拶を聞き終えて、胸が熱くなったKさん。恩師の教え子に対する強い思いをしっかりと受け止めたのでした。

今日の心がけ◆利他の精神で生きましょう

出典:職場の教養 2024年2月号

感想

この感動的なエピソードは、教師としての責任感と情熱、そして人生の大切な価値観を伝える力を示しています。恩師の言葉は、自己中心的な考え方や利己主義が蔓延する現代社会に対する警鐘であり、生き方の指針として示唆に富んでいます。

恩師が語る「利他の精神で生きること」は、自己の利益だけでなく、他人の幸福や利益も考える思いやりの心を持つことの重要性を訴えています。このメッセージは、社会に出てからも常に忘れずに心に留め、自己成長と他者への奉仕に励むことを教えてくれます。

また、恩師が自らの経験を踏まえて、利に走る世の中に抵抗し続ける決意を示す姿勢は、生き方に対する真摯な姿勢と信念の強さを感じさせます。彼の言葉は、単なる挨拶以上に、教え子たちに対する深い思いと愛情が込められていることが伝わってきます。

このエピソードは、人生における大切な指針や価値観を改めて考えさせられるものであり、恩師の教えに感謝しながら、自分自身もより良い人間になるために努力しようとする気持ちが湧き起こります。