Kさんは、職場の先輩であるYさんと、経済や社会、業界のことなどについて時折、歓談することにしています。ある時、話題が読書のことになり、Kさんは、どんな本を読んだらよいか、Yさんにアドバイスを求めました。
「知識や情報を得るための読書も必要だが、それは樹を植えないで実だけを得ようとするものではないだろうか」と語り始めました。
さらに、「これからは、樹を植える読書、つまり、物事を根本から考えさせれるような書物を読んで、自分の奥深い所から、自らの言葉で語れるような考えを身につけることも大切だと思う」とYさんは自らの読書観を伝えたのです。
Kさんは、これまでの自分の本との向き合い方を見透かされたのではないかと恥ずかしさを覚えましたが、「樹を植える読書は、仕事や生き方に必ず反映して、良い影響を与える」という言葉に励まされ、自分も実践しようと決意しました。
Yさんとの歓談の後では、Kさんはいつも、もっと前へ進もうという気持ちになって、心が弾んでくると言います。
今日の心がけ◆読書観を持ちましょう
出典:職場の教養10月号
感想
Yさんの「樹を植える読書」という表現は、物事の表面的な理解ではなく、根本からの考え方を育むことを意味しており、その深さに感銘を受けます。
Kさんが新しい読書観に目覚め、自らの成長に役立てようと決意する姿勢は、非常に前向きで尊敬できるものです。単に知識を吸収するだけではなく、それを活かし、自分の言葉で語れるようになることが、本当の意味での「学び」につながるというメッセージは、多くの人にとって価値のある教訓です。
また、KさんがYさんのアドバイスを受け入れる姿勢も素晴らしいと思います。
職場での先輩後輩の関係が、ただの上下関係にとどまらず、相互に刺激を与え合うような関係に発展することは、双方の成長を促進する良い影響をもたらします。
このような関係性が築かれることで、個人の成長だけでなく、職場全体の雰囲気も向上するのではないでしょうか。
否定的な感想
Yさんの「樹を植える読書」というアドバイスは、非常に深い考え方である反面、全ての読書がこのような深淵な目的に向かうべきだとするのは少し厳しすぎるかもしれません。
読書には、純粋な娯楽や気晴らしとしての側面もあり、そうした軽めの読書も時には必要です。知識や情報を得ること自体にも重要な意味があるため、「実を得るだけの読書」が全く無価値であるかのような印象を与える可能性がある点は、注意が必要だと思います。
さらに、KさんがYさんの言葉にすぐに影響を受ける姿勢は、成長志向であると同時に、ある種の未熟さも感じさせます。
自分の考えを持たず、他者の意見にすぐに迎合する傾向があるとしたら、それは主体性の欠如にもつながりかねません。KさんはYさんのアドバイスに感銘を受け、読書観を見直すことを決意しましたが、最終的には自分のペースで、自分なりの読書観を確立することが大切です。
他者の意見に影響を受けること自体は良いことですが、それが独自の考えに基づいた選択となるべきだと感じました。