二〇二一年、第四十一回ユネスコ総会で、十一月三日を「国際生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)の日」とすることが決定されました。
「自然遺産」が手つかずの自然を守ることを原則とするのに対し、ユネスコエコパークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的とする取り組みです。
私たちは多様な動植物に支えられ、生活を営んでいます。生命の元である食物はもちろん、衣食住のどれをとっても、自然なしには成り立ちません。
また、身近な公園や河川、旅先の景色など、自然に触れることで心が安らぎ、生きる力をもらうこともあります。
一方で、時に人間の活動が、持続可能な利活用の範囲を超え、生態系を乱し、動植物の脅威となっている事態も忘れてはならないでしょう。
物心両面で多大な恩恵をもたらす自然に、改めて感謝したいものです。身近な自然へ関心を寄せるべく、外に出かけてみてはいかがでしょうか。
今日の心がけ◆身近な自然に心を向けましょう
出典:職場の教養11月号
感想
ユネスコエコパークの取り組みは、自然を単に保護するだけでなく、人間社会との調和を重視する点で非常に意義深いと感じます。
自然を守りながらも、持続可能な形でその恩恵を享受し続けるという理念は、私たちの未来にとって欠かせない考え方です。
特に、食物や衣食住といった日常生活のあらゆる場面で自然の恩恵に支えられていることを改めて意識することで、環境問題を「自分ごと」として捉えられるようになるのではないでしょうか。
この話は、自然に対する感謝の気持ちを育むきっかけとなり、多様な動植物の存在の大切さを再認識させてくれます。
また、「心が安らぎ、生きる力をもらう」という自然との触れ合いの効果にも共感できます。
自然の中に身を置くことで得られるリフレッシュ感や癒しは、私たちの精神的な健康にも寄与するものです。
自然はただ守るべき対象ではなく、私たちに多くの恩恵を与え、豊かな生活をもたらしてくれる存在であるというメッセージは、非常にポジティブで心温まるものです。
否定的な感想
ユネスコエコパークの理念である「持続可能な利活用の調和」は理想的な目標ですが、現実にはその実現が容易ではないことが多いのも事実です。
人間の経済活動や開発は、しばしば環境保護と対立する構図になりがちであり、多様な利害関係者の調整が必要です。
現状では、多くの地域でエコパークの理念が浸透しきれていないことが、持続可能な自然利用を実現する上での大きな壁となっています。こうした状況を改善するためには、地域社会だけでなく政府や企業、個人など、多くの主体が一丸となって取り組む必要があります。
また、「身近な自然に心を向ける」ことは良い提案ですが、都市部に住む人々にとっては、身近な自然が少ないことも課題です。
公園や河川などの自然環境が整備されていない地域では、自然に触れる機会が限られているため、身近な自然への関心を持ち続けることが難しい場合もあります。
このような現実に対応するためには、より多くの人々がアクセスしやすい自然環境の整備や、自然教育の推進が不可欠です。
自然への感謝の気持ちを持つことは重要ですが、具体的な行動や環境整備の取り組みが伴わなければ、意識だけでは変化を生むのは難しいでしょう。