2024年11月19日(火) 目利き

人の特質や才能、物事の良し悪しなどを見抜く人、また、そうした能力を「目利き」と言います。

営業職五年目のAさんは、担当地域で徐々に顧客の信頼を得て成果を上げていましたが、上司のBさんからは仕事に対して、度々厳しい指摘を受けていました。

Bさんは、他の人がまず気づかないような細かい部分まで指摘し、何度も確認や資料の訂正を要求するのです。Bさんに呼ばれるたびに〈またダメ出しか〉と気分が重くなるAさんでした。

そこで、先輩にそのことを相談すると、「Bさんは、まるで目利きのようだね。君の成長を見込んで、あれこれと指摘しているんだよ。実際、君が作った最近の資料は見違えるほどレベルアップしているよ」と言われたのです。

続けて先輩は、過去の資料に比べ、裏付けに採用するデータが適格で、説得力のある内容になっている点を褒めてくれました。

依頼Aさんは、周囲の厳しい指摘にも、喜んで耳を傾けるようになりました。

今日の心がけ◆真摯に指摘を受け止めましょう

出典:職場の教養11月号

感想

批判や指摘をポジティブに受け止めることの重要性を深く教えてくれる話だと思いました。

特に「目利き」という言葉を上司Bさんの特質として用いることで、Aさんにとっての厳しい指導が単なるダメ出しではなく、成長のための的確なフィードバックであることが明確になります。このような視点を持つことは、どんな職場でも重要です。

Aさんが、指摘を前向きに捉え直し、成長に繋げた点は非常に感銘を受けました。

これは単なる精神論ではなく、実際に成果が出ていることからもその効果が証明されています。

上司の厳しい目が、Aさんの資料を「見違えるほどレベルアップ」させたという結果は、努力と受容の姿勢がいかに重要かを示しています。

また、この物語を通じて、Bさんの目利き力や、先輩の洞察力の深さが際立っています。

特に先輩のフォローアップがAさんを救った点に感動しました。このような職場での人間関係が、個人の成長にとってどれほど大切かを教えてくれる良い話だと感じました。

否定的な感想

現実には、指摘が必ずしも「成長を見込んだもの」であるとは限らないため、受け手が一方的に「耳を傾けるべき」とされる描写には少し違和感を覚えました。

上司のBさんが「目利き」であることは物語の中で証明されていますが、すべての上司や指導者が同じように的確で建設的な指摘をするわけではありません。

そのため、Aさんのように前向きに受け止められない人がいてもおかしくないと感じました。

また、Bさんの「厳しい指摘」がAさんの精神的な負担になっていたことが軽視されているようにも思えます。

もしAさんが先輩に相談しなければ、Bさんの指導がどれほど意図的で有益なものだったか気づかないまま、自己評価を下げてしまった可能性があります。

この点は、指摘を受ける側だけでなく、指摘をする側も配慮すべき点があることを示唆しています。

さらに、結論部分が「真摯に指摘を受け止めること」に集約されている点も、少し単純化されていると感じました。

厳しい指摘に耳を傾けることは大切ですが、その指摘を「評価する」力を持つことも同じくらい重要ではないでしょうか。単なる「受け止め」で終わらず、双方が成長するためのコミュニケーションが描かれるとさらに深みのある話になると思います。