十一月は「神楽月」という異名があります。収穫を慶び、神に感謝の歌や舞を奉納する「神楽」が盛んに行なわれていたことが由来です。
本日、宮中では、収穫に対して神に感謝を捧げるための祭祀「新嘗祭」が行なわれます。天皇陛下が、その年に収穫された新穀(初穂)を神に供えた後、これらの供え物を自らも食する儀式です。
戦前の「新嘗祭」は戦後、「勤労感謝の日」と改称され、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝し合う日」として制定されました。
農業が産業の中心だった頃は「新穀」の収穫が感謝の対象でした。現在では、勤労に携わる人々への感謝、あらゆる生産物への感謝、健康で働けることへの感謝など、すべての事柄に感謝する日と捉えることもできるでしょう。
また「勤労」とは、いわゆる賃金が発生する仕事に限定するものではありません。家事や育児、家族の介護など生活全般にわたります。
改めて働きの意味や意義を知り、互いに感謝を深める日としたいものです。
今日の心がけ◆あらゆるものへの感謝を深めましょう
出典:職場の教養11月号
感想
このエピソードは、現代における感謝の意義を丁寧に紐解きながら、歴史的背景を交えて深い視点を提供しており、とても心に響きました。
「新嘗祭」の伝統と「勤労感謝の日」とのつながりを知ることで、この祝日の本来の意味を改めて考えさせられます。
特に、収穫を神に感謝する儀式から、現代の多様な働き方への感謝へと視点が拡大されたことは、社会の変化を感じさせると同時に、普遍的な「感謝」の精神が受け継がれていることに心が温まります。
また、「勤労」を賃金が発生する仕事に限定せず、家事や育児、介護といった生活全般に拡大して考える視点が非常に重要だと感じました。
これにより、全ての人が自身の役割や貢献に対して感謝されるべき存在であることを認識させられます。この広い視野は、家族や地域社会における無償の労働への敬意や感謝を深めるきっかけとなるでしょう。
さらに、「あらゆる事柄に感謝する日」というテーマは、普段の忙しい日常の中で見落としがちな「感謝の心」を取り戻させてくれる素晴らしい提案です。
働ける健康や平和な環境、支えてくれる周囲の人々への感謝を意識することで、自分自身の幸せにも気づけるようになる点が魅力的です。
否定的な感想
このエピソードにはいくつかの改善点や補足が必要に感じました。
まず、「新嘗祭」から「勤労感謝の日」への変遷が語られていますが、この改称に込められた意図や、戦後日本の社会的背景についての説明が薄いため、読者によっては浅く感じるかもしれません。
歴史的背景がより深く掘り下げられていれば、この祝日の意義がさらに鮮明に伝わったのではないでしょうか。
また、「あらゆるものへの感謝」というテーマは大切ですが、少し抽象的で広がりすぎている印象を受けました。
具体的なエピソードや身近な例を用いることで、より親しみやすく、実践につながる内容になったかもしれません。たとえば、家庭内での小さな感謝の実践例や、地域社会での感謝の形などが加わると、読者が自分ごととして捉えやすくなりそうです。
さらに、「感謝」の対象が広がった現代において、どのようにその気持ちを表現するかというアプローチも提示されていれば、より行動に結びつく話になったと思います。
ただ感謝を深めるだけでなく、その感謝を行動や言葉で表現する大切さにも触れれば、このエピソードはより説得力を持つでしょう。