2024年11月29日(金) 一円のお手伝い

働くことによって得られる報酬は、単に給与や物質的な利益に限定されるものではありません。実際には、仕事を通じて得られるものは多岐にわたります。

例えば、仕事そのものから得られる満足感や達成感、人間的な成長や能力の向上、そして社会的なつながりや人間関係の充実などが考えられます。

Sさんには五歳になる息子がいます。息子には、手伝いをすると貯金箱に一円のお駄賃を入れてあげます。息子は、手伝いを頼まれると「一円、一円」と言いながら、言われたことを「はい」と受け、喜んで家の手伝いをするのです。

Sさんが、「お手伝い、楽しい?」と聞くと、「楽しいし、嬉しいよ」と即答します。息子にはお金の価値は、まだ分からないのかもしれませんが、喜びをもって手伝いをする息子の姿に、Sさんの方が嬉しくなります。

私たちは働くことで報酬を得ますが、漠然と働くのと喜んで働くのとでは結果や得られるものの質が違います。喜んで働けているか、改めて自分の働く時の姿勢を見つめ直したいものです。

今日の心がけ◆働きに喜びを見出しましょう

出典:職場の教養11月号

感想

「働きに喜びを見出しましょう」というメッセージは、仕事の意義や姿勢について改めて考えさせられる重要なテーマです。

Sさんの息子のエピソードは、この考えを象徴的に表現しており、非常に心温まります。

特に、息子が一円のお駄賃以上の喜びを手伝いそのものから得ている点は、仕事の本質をよく捉えていると感じました。

つまり、報酬そのものよりも、行動やその結果から得られる満足感や成長の方が、長期的な喜びやモチベーションにつながるということです。

また、この話は「働くことを喜びとする姿勢」が子供に自然と芽生えている点で非常に励みになります。

Sさんが息子に手伝いの楽しさを伝える一方で、その純粋な反応から自身も嬉しさを感じる場面には、働くことの多面的な報酬が垣間見えます。

仕事に対する喜びを持つ姿勢が周囲にも良い影響を与えるという循環的な価値を、このエピソードは教えてくれます。

否定的な感想

「喜んで働く」ことへの理想論がやや強調されすぎている印象も受けました。

現実的には、全ての人が喜びを感じられる仕事に就けるわけではなく、生活のためだけに働いている人や、職場環境のストレスに悩む人も多く存在します。

こうした現状を考慮すると、「働きに喜びを見出しましょう」という言葉が、場合によってはプレッシャーとして受け取られることもあるのではないかと思いました。

また、Sさんの息子の例は非常に微笑ましいものの、大人が抱える仕事の多様な側面や現実の複雑さに直接対応するものではないようにも感じます。

例えば、仕事が必ずしも成果に直結しない場合や、対人関係の問題が原因で働くことが苦痛になる場合もあります。

そのような場面で喜びを見出すには、個人の努力だけでは解決できない要因も多いため、「喜びを見つけましょう」という一方的な呼びかけには限界があるかもしれません。