忘年会や新年会、結婚披露宴など様々な宴席を締めるときに「えんもたけなわではございますが」と切り出すことがよくあります。
この言葉は、宴席で一番盛り上がっている状態を指し、「せっかく盛り上がっているところですが」という意味です。また、「えんもたけなわ」を漢字で書くと「宴も酣」となります。
「宴」は飲食などをして楽しむ場を指し、「酣」は、日本酒の発行の過程で醪が泡をブクブクと発生させ湧いていく最高潮の様子のことで、行事がもっとも盛んである状態であることを示しています。
また、醪の泡が高く湧いている頃が糖分も多く、昔の酒は当時の製法の関係から、今よりとても甘く、酒を表わす「酉」へんに「甘」というつくりが当てられたのだろうと言われています。
忘年会や新年会などの集まりは、知人との交流を深める良い機会です。こうした宴席の由来を知ることで、さらにその場を楽しめるのではないでしょうか。
今日の心がけ◆宴席の場を楽しみましょう
出典:職場の教養12月号
感想
普段何気なく使われる表現「えんもたけなわ」について、その語源や漢字の意味を丁寧に解説しており、非常に興味深い内容でした。
「酣」という漢字に隠された日本酒の発酵過程や、当時の酒の特徴が取り上げられている点は、ただの言葉の説明に留まらず、日本の伝統文化や歴史にも触れるものとなっています。
このような背景を知ることで、宴席での交流が一層豊かになるという提案には説得力があります。
また、「宴」という言葉が指す楽しみの場としての意味合いと、「酣」が象徴する最高潮の盛り上がりが、宴席の本質を的確に捉えています。
言葉に込められた深い意味を知ることで、普段の会話や場の締め方に新たな視点を加えられるのは素晴らしいポイントです。
「宴席の場を楽しみましょう」という心がけも、単なる社交の場としてではなく、日本文化の一部として宴席を捉え直す意義を強調しており、読後に温かい気持ちを残します。
否定的な感想
「えんもたけなわ」の語源や漢字の説明に重点が置かれていますが、具体的な活用例や、これを知ることでどのように宴席が楽しくなるのかについての言及が薄い印象を受けます。
宴席でこの知識を話題にすることでどのように場が和むのか、具体的な場面を示していれば、より実用的な提案として伝わったのではないでしょうか。
さらに、「昔の酒は甘かった」という興味深い記述に触れつつも、現代の酒との違いや、それがどのように宴席文化に影響を与えてきたかについての掘り下げが不足しています。
この部分を詳しく取り上げることで、日本の酒文化や宴席の進化を示すことができ、内容にさらに奥行きが加わると思います。
また、「宴席を楽しみましょう」という結論はやや一般的であり、知識を生かしてどのように宴席を盛り上げるかについての具体的なアドバイスがあると、より行動に移しやすいメッセージとなったでしょう。