アメリカの研究者であるデイビッド・レビィ氏はポップコーンがあちこちで弾けるように、頭の中で次々と考えることが変わり、一つのことをじっくりと考えることができない状態を、「ポップコーン脳」と名付けました。
知人に連絡するためにスマートフォンを手にしたのに、通知が来ていたSNSを開き、友人の投稿を見て、自身も旅行の計画をインターネットで検索し始める。
このように、知人への連絡という当初の目的を忘れてしまうといった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
スマートフォン等のデジタル機器の普及によって、私たちは手軽に情報を得ることができるようになりました。一方で、情報が多すぎるがゆえに意識が散漫となり、一つの物事に集中して取り組みづらい環境にあるともいえます。
就寝前にはスマートフォンやパソコンを見ないようにする等、一日の中でデジタル機器から距離をおく時間を定めるのも良いでしょう。多くの情報に惑わされずにじっくりと考える習慣をつけ、行動する力を養っていきたいものです。
今日の心がけ◆考える習慣を身につけましょう
出典:職場の教養12月号
感想
デイビッド・レビィ氏が提唱した「ポップコーン脳」という概念は、現代社会の一つの本質を的確に捉えていると思います。
この表現は、まさに情報が次々と跳ね回り、集中が妨げられる状況をビジュアル的に描き出しており、聞くだけで状況を理解しやすいインパクトがあります。
私たちの生活はデジタル機器に深く依存しており、情報へのアクセスが簡単になった反面、その情報量に圧倒されることが多いです。
この話は、そうした問題点を単に批判するだけでなく、「デジタル機器から距離を置く」という具体的な対策を提案している点で実用性が高いです。
一日の中で「情報断食」のような時間を設けることで、心をリセットし、本来の集中力を取り戻す可能性が示唆されているのは、読者にとってもすぐに実践可能なアドバイスです。
また、情報が溢れる時代だからこそ、「じっくり考える習慣を身につける」というメッセージは非常に重要です。
単なる情報の消費者ではなく、情報を吟味し、自分自身で思考を深めることの大切さを再確認させられます。
こうした提言は、日常のちょっとした行動を変えるきっかけとなり、実生活に良い影響を与えるものだと感じました。
否定的な感想
デジタル機器を使う時間を減らすという提案自体は正しいですが、それを実行するのは思った以上に難しいと感じる人が多いでしょう。
例えば、仕事や生活の中でスマートフォンやパソコンを使わざるを得ない状況が増えている現代では、単に「距離を置く」ことが解決策として十分かどうかは疑問が残ります。
また、「考える習慣を身につける」という目標自体は素晴らしいものの、その実現には具体的な方法やステップが提示されていません。
例えば、「深く考える」とは具体的にどのようなプロセスを指すのか、あるいはその習慣をどうやって日々の中で育むのかが描かれていれば、もっと実践的な内容になったでしょう。
この点で、話が抽象的すぎて、読者がその先をどう行動に移すべきかが曖昧です。
さらに、「ポップコーン脳」という表現が、問題の一面を過度に強調しているようにも感じました。
情報社会には多くの利便性や恩恵があり、単に集中力を妨げる悪者として描くだけでは、そのバランスが欠けてしまう可能性があります。
この問題に取り組む際には、デジタル技術との健全な付き合い方をもう少し多角的に考える必要があるのではないでしょうか。