原因の特定
人間は予測や先読みをする生き物です。しかし、その予測や予想がいつも正しいとは限りません。単なる思い込みに過ぎないこともあります。
Aさんは、硬いものを食べると口の奥の歯茎がとても痛くなる症状に悩まされていました。一番奥にある歯が親知らずで、おそらく、それが原因だから〈親知らずがなくなればいいのに〉と常に思っていたといいます。
後日、歯科医院で、親知らずの抜歯をしました。抜歯後、歯茎の痛みがなくなるかと期待したのですが、症状は改善されませんでした。実は、痛みの原因の歯は親知らずの隣の第二大臼歯という奥歯だったのです。
思い込みは、トラブルの原因を特定する際にもよく起こります。例えば、同僚がそっけない態度をとったことに対して、〈自分が何か嫌われることをしたせいだ〉と思っていたら、実は単に相手が忙しいだけだったということもあります。
正しいと思い込んでいるときには、視野が狭くなりがちです。間違いを指摘されたときは、謙虚になって冷静に受け止める姿勢が必要です。
今日の心がけ◆冷静に受け止めましょう
出典:職場の教養1月号
感想
この話は、人間が持つ「思い込み」の危うさと、それに伴う視野の狭さを鮮やかに描いており、とても考えさせられました。Aさんが痛みの原因を親知らずだと信じ込んでいたエピソードは、日常生活での先入観や予測がどれほど誤解を招くかを象徴しています。特に、「正しい」と思い込むことで、実際の原因を見落とすリスクを指摘している点が鋭いです。
また、「謙虚さ」をもって間違いを受け入れることの大切さを示した内容は、心に響きました。私たちは、感情的になると冷静さを失い、自分の考えに固執しがちです。こうした状況下で、視点を変えたり、専門家や他者の意見を受け入れる柔軟さを持つことが、問題解決の近道であると感じました。
「今日の心がけ」にあるように、「冷静に受け止める」姿勢は、誤解を減らし、より良い判断を下すために必要不可欠です。この話は、感情や思い込みをコントロールする重要性を改めて教えてくれる良い教訓になりました。
否定的な感想
この話の内容は非常に有益ですが、「思い込み」や「視野の狭さ」が持つ危険性を過度に強調しすぎている面もあるように感じます。確かに思い込みは誤解を生みやすいものですが、時としてそれが素早い判断や効率的な行動を助ける要素になる場合もあります。例えば、過去の経験から得た推測は、多くの場面で役に立つことも事実です。この点に触れず、思い込みを一概に否定しているのは少々偏っている印象を受けました。
また、Aさんのケースでは「歯科医院での診断」という冷静なアプローチが欠かせなかったことは確かですが、それだけで状況が完全に解決するとは限りません。誤解を解くためには、思い込みを否定するだけでなく、どうそれを正すかのプロセスや対話も重要です。その点について深堀りされていないため、具体性や実用性がやや不足していると感じました。
さらに、「冷静に受け止める」という心がけ自体は素晴らしいですが、現実では感情的な反応を抑えるのは非常に難しいものです。この話は、その困難をどのように克服するかといった現実的なアプローチについて触れることで、より実践的な内容になったのではないでしょうか。