2025年2月23日(日) 樋口一葉に学ぶ

樋口一葉に学ぶ

「つらいときには自分より苦労した人のことを思い浮かべるようにしている」と述べたのは、伊藤忠商事会長の岡藤正広氏です。岡藤氏は、その一人として、明治時代の小説家である樋口一葉の名を挙げています。

「女性が学問を学ぶことが難しい」とされていた時代に、その逆境の中で生活に困窮して借金に追われる苦境にあっても小説を書き続けた樋口一葉。その努力が実を結んで認められたものの、二十四歳の若さでこの世を去りました。

岡藤氏は、「彼女の無念を思えば、我々の苦労などいかほどか」と述べ、一葉の残した言葉には背筋が伸びるとも語っています。

人は他人と自分を比べることで、優越感に浸ることもあれば、劣等感にさいなまれることもあります。しかし、自他の比較を通じて、自分が置かれている環境がいかに恵まれているかを知る機会にもなります。

他者を知ることは、単に知識を得るだけでなく、客観的に自分を見つめ直し、生きる気力を湧き起こさせる貴重な作業となり得るのです。

今日の心がけ◆先人の人生から学びましょう

出典:職場の教養2月号

感想

この話には、困難に直面したときの心の持ちようについて、大きな示唆があると感じました。

人は誰しも、仕事や人生の中で「つらい」「もう無理だ」と思う瞬間があります。

しかし、そうしたときに「自分よりももっと大変な状況で頑張った人」を思い浮かべることで、自分の悩みが相対的に小さく見え、前向きな気持ちになれることは確かにあるでしょう。

岡藤正広氏が樋口一葉を例に挙げたのは、とても象徴的です。

明治時代において、女性が学問を学ぶことすら困難だった時代に、小説家として成功を収めた彼女の努力は計り知れません。

経済的に苦しい状況でありながらも筆を折らず、文学の道を追い続けた彼女の姿勢は、現代の私たちにとっても学ぶべきものがあります。特に、現代は学ぶ環境も整い、自由にキャリアを選択できる時代です。

その中で、つらいと感じることがあっても「それでもまだ恵まれている」と思えるかどうかは、自分自身の視点次第だと感じました。

また、この話は単に「つらいときに頑張れ」という精神論ではなく、「歴史を学ぶことで自分の視野が広がる」という重要なメッセージも含んでいます。

他者の人生を知ることは、単なる比較ではなく、自己を客観的に見つめ直し、自分の生きる力を引き出す作業でもあるという点に共感しました。

私たちはどうしても目の前の苦しみにばかり目を向けがちですが、歴史や過去の偉人の生き様に目を向けることで、新たな視点を得ることができるのです。

否定的な感想

「つらいときに自分より苦労した人を思い浮かべる」という考え方には、少し注意が必要だとも感じました。

確かに、過去の偉人の苦難と比べれば、自分の悩みが小さく思えることもあります。

しかし、それが「自分の悩みは取るに足らないものだ」と無理に思い込むことにつながるとしたら、それは逆効果ではないでしょうか。

人の感じる「つらさ」や「苦しみ」は、単純に比較できるものではありません。

ある人にとっては些細なことでも、別の人にとっては深刻な問題である場合もあります。

そのため、「過去の偉人に比べればマシだ」と考えることで、無理に自分を納得させるのではなく、「自分の苦しみをどう乗り越えられるか」に焦点を当てる方が建設的ではないかと思います。

また、「過去の偉人と比較することで自分の恵まれた環境に気づく」という考え方も、場合によっては「自己否定」につながる可能性があります。

もちろん、歴史を学ぶことで視野が広がるのは大切なことですが、それが「自分は甘えているだけだ」と無理に結論づける方向に進むと、本来の目的を見失ってしまうのではないでしょうか。

むしろ、「偉人の生き方からヒントを得て、自分の状況をより良くするための方法を探す」という姿勢のほうが、前向きに生かせるように思います。

つらいときには、偉人の生き方を参考にしながらも、「今の自分にとって、どうすることが最善なのか」を考えることが重要です。

ただ単に「過去の人に比べればマシ」と考えるだけではなく、「彼らの努力から何を学び、自分の人生にどう活かせるか」を考えることが、より実践的な学びにつながるのではないでしょうか。