きれいな中古車
持続可能な社会が求められ、物や道具も長く使うことが推奨されています。
Aさんは家族と相談し、中古車を買うことにしました。 条件に合う車をインターネットで検索し、実際に足を運んで車の状態を確認しました。 そこで、使用年数や走行距離が短く、車体や内装がきれいな車を探していました。
その中で、年数が比較的長く、走行距離も多いにもかかわらず、 同じような条件の他の車に比べて明らかにきれいな状態の車がありました。 その様子から以前の所有者が大切に乗っていたことが感じられたのです。
同時にAさんは、自分の身の回りにあるものにも思いを巡らせました。 普段仕事で使う道具や機械、日常生活で身に着けている服や靴などの状態を思い浮かべると、 大切に使っているとは言い難く、申し訳ない思いが湧いてきました。
最終的に、Aさんは先ほどのきれいな状態の車を購入しました。 前の所有者と同様に大切にしようと思うと共に、 自分の身の回りの物や道具も大切にしていく決意をしたのでした。
今日の心がけ◆身の回りのものを大切に扱いましょう
出典:職場の教養3月号
感想
この話には、持続可能な社会への個人の意識と行動が美しく描かれていて、とても共感を覚えました。
Aさんが中古車を選ぶ際、見た目やスペックだけではなく、「大切にされてきた形跡」まで感じ取ったという点に、物に宿る気配や時間の重みを受け取る感受性の豊かさが表れていると思います。
ただの買い物ではなく、モノとの関係性を再確認するきっかけとなっているところに深い意味があります。
また、「申し訳ない思い」が湧いてきたという心の動きは、自分の生活や態度を見つめ直す誠実さの表れであり、非常に人間味があります。
私たちはつい便利さや忙しさに流されて、物を粗末に扱ってしまいがちですが、Aさんのようにふと立ち止まり、身近なものに対する敬意を取り戻す瞬間は、人生の質を変える力を持っていると感じました。
「今日の心がけ」にあるように、身の回りのものを大切にすることは、物質的なものへの感謝を育てるだけでなく、自分自身や他者への態度にも連動していく行為です。
この話は、生活の中に潜む優しさや責任感の大切さを静かに教えてくれました。
否定的な感想
この話には一つの視点への偏りも感じました。
Aさんの変化はとても美しく、共感できるものですが、裏を返せば、それまでの自分の生活が物をぞんざいに扱ってきたという後悔に基づいています。
それは確かに大事な気づきではあるものの、物を大切にするということが、ただ「反省」によって生まれるだけでは少し窮屈にも感じられました。
また、「きれいな中古車=大切にされていた」という読み取りは、あまりにも表面的な印象を与えるかもしれません。
使用感があっても愛着を持って使われていた物もたくさんあります。
見た目の綺麗さだけで過去の持ち主の心を想像するのは、少しロマンチックすぎるかもしれません。
もっと多様な価値観、例えば「使い込まれた美しさ」や「修理された痕跡への愛着」なども取り入れることで、より広がりのある視点が得られたのではないかと思いました。
物との関係性を深めるには、単なる「きれいさ」ではなく、その物が持つ歴史や役割への敬意も含まれてこそ、本当に豊かなつながりになるのではないでしょうか。