2025年3月27日(木) 犬が苦手

犬が苦手

苦手や嫌いなことの克服は、自分の世界を広げるためのステップとなります。苦手なことに立ち向かえば自己成長を促し、自信を深めることができます。

Sさんは、幼い頃に犬に噛まれた経験から苦手意識がありました。にもかかわらず、Sさんの子供たちが「犬を飼いたい」と言い出し飼うことになったのです。

当初、Sさん自身は犬の世話をする気はありませんでした。しかし、子犬の世話は想像以上に手がかかり、子供たちだけでは手に負えなかったのです。

ワクチン接種のため動物病院へ行き、トイレ・トレーニングを手伝うようになりました。犬と接する機会が増えていき、やがて犬は眠い時にも目をこすることを知りました。また、褒めると尻尾を振って喜びます。

Sさんが帰宅すれば全身で喜び、抱き上げると手をなめてくれます。気が付くと可愛いなと思うようになり、日常的に犬の世話をするようになりました。

苦手な犬も歩み寄ってみることで好きに転じると知ったSさん。その後、苦手を克服し、これまで避けていた活動や人々との交流が増えていきました。

今日の心がけ◆苦手なものにも歩み寄りましょう

出典:職場の教養3月号

感想

この話から感じたのは、「苦手の正体」は、実は自分が勝手に作り上げた壁なのかもしれないということです。

Sさんは子供たちの願いをきっかけに、避け続けてきた犬という存在と向き合うことになります。

それは決して無理をしたわけではなく、必要に迫られ、少しずつ関わっていく中で、犬の可愛さや無垢な反応に心がほぐされていく。

この「少しずつ」のプロセスがとてもリアルで、無理やりではない自然な変化に心を打たれました。

とりわけ印象的だったのは、「犬が眠い時に目をこする」や「褒めると尻尾を振る」など、細やかな観察によって生まれる愛着の描写です。

苦手なものでも、その対象の個性や感情に目を向けたとき、私たちはそれを「理解しよう」とする力が自然に働くのかもしれません。

苦手は否定ではなく、「まだ知らない」という未経験の領域なのだと感じました。

「今日の心がけ」である「苦手なものにも歩み寄りましょう」は、単なる勇気の話ではなく、日々の中で少し視点を変えることの大切さを教えてくれます。

苦手なものと無理に闘う必要はないけれど、少し距離を縮めることで、自分の世界が広がる。

その実例として、Sさんの体験は説得力があります。

否定的な感想

Sさんの話には「苦手を克服することが正義」という一方向的な価値観が潜んでいるとも感じました。

もちろん、子供たちとの関係や家族の事情で、犬と向き合わざるを得なかったという背景は理解できます。

しかし、誰しもが苦手を克服すべきかというと、必ずしもそうではないとも思うのです。

例えば、トラウマが深く根付いている人にとっては、「歩み寄る」という行為そのものが大きな苦痛になることもあります。

Sさんの変化は美しいけれど、それがすべての人に当てはまるとは限りません。

苦手なものと距離を置くことも、自己防衛や健全な判断である場合があります。

また、「苦手を克服したことで活動や人々との交流が増えた」という流れは、少し理想的すぎて、逆にプレッシャーにもなりかねません。

まるで「苦手なものを克服できない人は閉じた世界に生きている」と言わんばかりの雰囲気に感じてしまいました。

苦手なものと無理に向き合わなくても、自分らしく生きることはできる。

その多様性をもう少し尊重してもよかったかもしれません。