人生の指針
高校を卒業して十五年が経つMさんですが、卒業式での校長先生の式辞は、今も人生の指針となっています。
校長先生は、「私たちの社会から消えつつある言葉の一つが『誠実』です」と前置きし、誠実が人間性を高める重要な要素であり、人々の誠実さが社会を支えていると述べたのでした。
さらに、卒業生に対して、「どんな小さなことでも誠実に行ない、他人には誠実に接する人間になってほしい」と語り、最後に「誠実であることは人間を偉大にする」と式辞を締めくくりました。
近年、Mさんは校長先生の言葉の真意に気づきました。校長先生は皆に「偉大な人間になれ」と叱咤したのではなく、「誠実というものは人間を偉大にする。誠実そのものが偉大なのだ」と伝えたかったのだと感じるようになったのです。
Mさんは、これからも業務に誠実に向き合い、お客様や職場の仲間にも誠実に接することで、良い社会づくりに貢献したいと考えています。
今日の心がけ◆誠実さを大切にしましょう
出典:職場の教養4月号
感想
この話には、言葉の力が時を越えて人の人生に深く根付く様子が描かれていて、とても心を打たれました。
特に、校長先生が述べた「誠実であることは人間を偉大にする」という言葉には、ただの教訓以上の重みがあります。
Mさんが十五年後にその真意に気づき、自らの行動を見つめ直している点には、時間をかけて育まれる価値観の尊さを感じました。
「誠実」という価値が失われつつあると校長先生が言及した点も、今の時代に通じるものがあります。
情報があふれ、表面的なつながりが多くなった今だからこそ、誰にも見られていないところでも誠実に振る舞える人の存在は貴重です。
Mさんのように、その言葉を人生の羅針盤として大切にし続ける姿勢は、周囲にもよい影響を与えるでしょう。
「今日の心がけ」にあるように、誠実さは日々の中で意識的に育むものであり、その積み重ねが人間性を深め、社会に信頼という土台を築いていくのだと思います。
否定的な感想
「誠実」という言葉があまりにも理想的で純粋な分、それを個人に強く求め続けることが、時に無理を生じさせることもあるのではないかと感じました。
現代社会は必ずしも誠実さだけで報われる構造にはなっておらず、むしろ損をしてしまうような場面も少なくありません。
Mさんのように信念を貫ける人は素晴らしいですが、その姿勢が「誠実でなければならない」という無言のプレッシャーに変わってしまうと、心の余裕がなくなってしまう危険もあります。
また、校長先生の言葉が美しすぎて、そのまま人生の正解のように受け取られることに、少しだけ違和感を覚えました。
誠実さは確かに尊いものですが、人には多様な価値観があり、時には不器用だったり、曖昧だったりする人間の側面も、同じように受け入れられる社会であってほしいとも思います。
誠実一辺倒にならず、もっと柔らかく、他人にも自分にも優しくなれる視点も持ち合わせたいです。