2025年4月11日(金) 反応が怖くて

反応が怖くて

人に情報を伝える際、言いやすい内容と言いにくい内容があります。相手の反応が怖くて、なかなか言い出せないこともあるでしょう。

Aさんは個人的な借金問題で頭を抱えていました。誰にも頼らず、自分の力で解決したいと思い、妻にもこのことは伝えていませんでした。

ある日、妻から「この銀行からの引き落としは何に使ったの?」と聞かれ、Aさんは言葉を濁しました。すると妻から「何か後ろめたいことでもあるの?」と言われ、何やら疑いをかけられてしまいました。

困ったAさんは、トラブルを抱えていることを正直に伝えました。妻は呆れましたが、「最初から相談してくれればよかったのに」と言われ、Aさんは「素直に言えばよかった」と反省しました。

必要な情報を伝えないことで誤解が生じたり、その時起きている問題がさらに複雑化したりします。

だからこそ、伝えるべきことは正直に伝えることが大切なのです。

今日の心がけ◆伝えるべきことはきちんと伝えましょう

出典:職場の教養4月号

感想

この話には、人間関係において何よりも大切な「信頼」と「誠実さ」が浮き彫りになっていて、とても胸に響きました。

Aさんのように、自分の問題を誰にも頼らずに解決しようとする気持ちは、ある意味で責任感の表れですが、それが「隠すこと」になってしまうと、逆に相手との信頼関係を損ねてしまうという現実があります。

「最初から相談してくれればよかったのに」という奥さんの言葉には、裏切られた気持ちと、それでもなお夫を信じようとする優しさがにじんでいて印象的です。

Aさんもまた、自分の弱さを認めて素直になることで、人との関係を取り戻すことができたのだと思います。

情報の伝え方には勇気がいりますが、それをためらった結果、誤解や不信感を生んでしまうのであれば、怖さを乗り越えて「伝える」ことの大切さを改めて感じます。

「今日の心がけ」にあるように、「きちんと伝える」ことは、相手への思いやりでもあり、自分を守ることにもつながるのだと気づかされました。

否定的な感想

この話に対しては少しモヤモヤする部分もあります。

Aさんの「言えなかった」気持ちは、単なる意地や頑固さではなく、「相手に心配をかけたくない」「責められるのが怖い」という切実な思いだったかもしれません。

それを、「最初から言えばよかった」と単純に反省させて終わらせてしまうと、言えなかった側の葛藤や不安が軽視されてしまうようにも感じました。

また、「正直に言うべきだ」という価値観が強調されすぎると、それが時に「本音を押し付ける正義」になってしまうこともあります。

正直さは大切ですが、それをいつ、どのように、どれくらい伝えるかは、関係性の成熟度やタイミングによって変わるものです。

そこに慎重さや配慮があってもいいはずです。

「伝えるべきこと」を「きちんと」伝えるというのは、単に内容の正しさだけではなく、「相手にどう伝わるか」までを含めた繊細な作業です。

それを考慮せずに、「正直に言えば全てうまくいく」という単純な構図にしてしまうと、現実の複雑さが見落とされてしまう危うさがあると思いました。