2025年4月29日(火) 伝統の継承

伝統の継承

伊勢神宮の最大の行事として、式年遷宮が二十年に一度行なわれます。

第四十代天武天皇が発意し、続く持統天皇の御代に第一回の式年遷宮が開催されました。室町時代に応仁の乱が起こった際、やむなく中断したものの、現在まで約一三〇〇年間継承され続けています。

式年遷宮では内宮・外宮だけではなく、十四の別宮や鳥居などをはじめとして、一七〇を超える建物すべてを新しく造り替えます。

神宮の社殿は弥生時代の穀倉(こくそう)に起源を持つ「唯一神明造」です。丈夫で地震にも強く、 日本の自然に適した建築様式が今も変わらず守られているのです。

次の式年遷宮は令和十五年に予定されており、令和七年から遷宮にかかわる様々なな祭りと行事が行なわれることになっています。

自分の職場にも伝統や創業の精神があることでしょう。今の仕事は諸先輩が継承し、磨いてきた技術や業務内容そのものといえます。

次の世代にもつながるような働きを目指して、仕事に取り組みたいものです。

今日の心がけ◆次につながる仕事を目指しましょう

出典:職場の教養4月号

感想

式年遷宮のような伝統行事が、1300年以上も途切れることなく継承されているという事実には、ただただ圧倒されるばかりです。

20年ごとにすべてを新しく建て直すという行為は、物理的な更新にとどまらず、精神や技術、そして文化のリフレッシュにもつながっている。

そこには、「古きを尊びつつ新しきを生む」という日本人独特の美学と哲学が息づいていると感じます。

「唯一神明造」という建築様式もまた、自然環境と調和しながら、時代に左右されずに存続し続けるという姿勢が貫かれています。

このような堅牢な精神性が、伊勢神宮だけでなく、日本人の働き方や生き方にも深く根付いているのではないでしょうか。

「次につながる仕事を目指しましょう」という今日の心がけは、単なるスローガン以上の重みを持っています。

私たちの仕事もまた、過去から受け継いだ営みの一部であり、次の世代への橋渡しなのだという視点が、働く意義をより豊かにしてくれると思います。

否定的な感想

式年遷宮のような壮大な行事が「当たり前」として継承されている背景には、多くの人的資源と経済的コストがかかっていることも忘れてはなりません。

現代の社会において、そこまでの資源を一つの伝統に割ける状況は決して多くありません。

特に地方や小さな企業では、伝統の継承よりも日々の存続が優先されがちで、理想とのギャップに悩まされる現実もあるでしょう。

また、20年ごとに建て替えるという行為が、エコロジーや持続可能性の観点からどう評価されるのかという議論も出てくるかもしれません。

形式にこだわるあまり、本質を見失う危険性も、どんな伝統にも潜んでいるように思います。

「次につながる仕事」を目指すにしても、それが単なる形式的な継承でなく、時代に即した価値や意味を伴うものでなければ、後世に真の意味で残すことはできないでしょう。

伝統の再定義とアップデートも、また大切な継承の一部なのではないかと感じました。