2025年5月4日(日) ニッポニア・ニッポン

ニッポニア・ニッポン

特別天然記念物に指定されているトキは、「ニッポニア・ニッポン」の学名どおり日本を代表する鳥の一つです。しかし、二〇〇三年に国産のトキ「キン」が死んだことで、日本の野生のトキは絶滅しました。

環境省によると、トキは明治時代に羽毛をとるために乱獲され激減しました。昭和以降は「森林の伐採による繁殖地の減少」「農薬の多用による餌動物の減少」「山間部の水田の消失」などが減少要因として挙げられています。

新潟県では「国内のトキが自然状態で安定的に存続できる状態となる」との目標を掲げました。トキの餌場となるビオトープの造成、人とトキの共生に向けた地元住民への理解の促進、人的・物的支援事業等を実施しています。

現在では中国から提供されたトキのつがいを親鳥として繁殖と放鳥を繰り返し、個体数が少しずつ増えています。自然繁殖も確認されるまでになりました。

人間の活動により、絶滅の危機に瀕している動物が多くいます。動物と共生するには、私たちが何をしなければならないのか考えたいものです。

今日の心がけ◆動物との共生を目指しましょう

出典:職場の教養5月号

感想

「ニッポニア・ニッポン」、この響きに日本の自然と文化への深い愛情を感じます。

トキという象徴的な存在が絶滅の危機に瀕し、それに対して人々が立ち上がり、手を取り合って回復を目指している姿には、誇りと希望を覚えました。

特に、新潟県が「自然状態で安定的に存続できる」という高い目標を掲げ、単なる数の回復ではなく、トキが本来の生態系の中で生きられる環境づくりに尽力している点に深い感動を覚えます。

「餌場の造成」や「地元住民への理解促進」など、人間中心の発想を超え、動物との共生を本気で目指す姿勢が読み取れました。

これは単なる自然保護運動ではなく、文化的責任と未来への贈り物でもあります。

今日の心がけである「動物との共生を目指しましょう」という言葉は、単なる理想論ではなく、私たち一人一人の具体的な行動に結びつけるべき指針だと強く感じました。

否定的な感想

この取り組みの裏には、なぜここまで追い込んでしまったのかという痛烈な反省がまだ十分に語られていないとも感じました。

明治時代の乱獲や昭和以降の環境破壊、農薬使用といった人間の過ちが積み重なった結果である以上、単に「今努力している」だけでは足りず、過去の過ちに対する厳しい総括がもっと必要だと痛感します。

また、中国からのトキ提供に頼らなければならなかったことも、日本が自国の生物多様性を守れなかった現実の象徴です。

本来なら、日本固有の命を日本の手で守り続けるべきだったはずです。

増えているとはいえ、放鳥やビオトープ造成に多くの人手と資金をかけてやっと維持されている状況は、まだ「共生」と呼べるものではなく、むしろ人間による管理に近いようにも感じました。

共生を本当に実現するためには、もっと根本的に、私たち自身の暮らし方を問い直す必要があるのではないかと思います。