親しき仲にも
自分では気づかないうちに、相手に不快な思いをさせていることがあります。その一つが、会話の中で思わず出てしまう口癖です。
例えば、「要するに」という言葉は、一般的には話し手が要点を強調する時や、相手に理解しやすく説明するために使うことが多いでしょう。
しかし、話を聞いている相手のほうから言われると、自分が話しているのに勝手に話の内容をまとめられた、会話を遮られたと感じることがあります。
また、「でも」「いや」等から始まる否定的な言葉にも注意が必要です。会話の最中に「いや、それは○○で」と、相手の言葉を否定するつもりがないのに、何気なく口にしてしまう人もいるでしょう。
「親しき仲にも礼儀あり」の諺が示すように、どれだけ身近な人であっても、相手の立場になって、不快感を与えないような言葉を選ぶことが大切です。
職場では、堅苦しくならない程度の礼節を意識した会話で、お互いを尊重し合いながら気持ちよく仕事に取り組んでいきたいものです。
今日の心がけ◆礼節をもって接しましょう
出典:職場の教養5月号
感想
この話は、身近な関係ほど言葉遣いに無頓着になりがちであるという、人間関係の盲点を鋭く突いていて、非常に共感を覚えました。
特に「要するに」という表現が、聞き手側に立ったときにどう受け取られるか、という視点は新鮮で、自分自身も無意識に使ってしまっていることにハッとさせられました。
また、否定から入る言葉の影響についても、日常的にありふれたことだからこそ、こうして改めて意識化されることに大きな意味があると感じます。
親しさゆえの無遠慮が、知らず知らずのうちに相手を傷つけることがあるという指摘は、単なるマナーの話ではなく、相手への思いやりの深さを問うものだと受け取りました。
「今日の心がけ」にある「礼節をもって接しましょう」という呼びかけも、形式的な礼儀作法にとどまらず、相手の心を大切にする態度そのものを指しているようで、心が引き締まる思いがしました。
日常会話を丁寧にすることは、単なるスキルではなく、相手への敬意を積み重ねる行為であることを改めて認識させられる内容でした。
否定的な感想
「言葉に気をつけすぎる」ことへのリスクについても触れてほしかったと感じました。
たしかに無意識の口癖が相手に不快感を与えることはありますが、あまりに言葉を選びすぎると、今度は会話そのものが不自然になり、親しさや本音を共有する場がぎこちなくなってしまう恐れもあります。
「親しき仲にも礼儀あり」という教えは大切ですが、それを過剰に意識するあまり、相手に対して構えた態度になってしまうと、かえって壁を作ってしまう可能性もあるでしょう。
特に職場など、信頼関係が十分に育っていない段階では、形式的な礼節だけが前面に出ると、心の距離感が縮まらず、表面的な関係にとどまる危険性もあります。
この点、礼節と自然体のバランスをどう取るか、という視点が加わると、さらに深みのあるアドバイスになったのではないかと感じました。
ただただ「丁寧にしなさい」というだけでは、息苦しさを感じる人もいるかもしれません。
言葉の使い方については、相手との関係性や状況に応じた柔軟な判断も必要だと思います。