自己肯定感
「自己肯定感」は、心理学の分野で十九世紀末から研究されてきた概念です。日本でこの言葉が広く知られるようになったのは二十世紀以降です。
文部科学省の調査によると、日本の子供が諸外国と比べて「自分に満足している」と答える割合が低いことが課題となっています。
現代社会において、学校教育や子育て、メンタルヘルスなどの自己啓発の分野で、自己肯定感を高める教育が重視されるようになりました。
例えば、学校では自己肯定感を育むためのプログラムが導入され、子供たちが自分の価値を認識し、自信を持てるよう支援しています。また、子育てにおいても、親が子供の自己肯定感を高めるための方法を学ぶ機会が増えています。
自己肯定感の効果の研究がさらに進めば、世界中の人々が時代や国境を越えた共通の行動や習慣を見つけ出せるかもしれません。さらに、継続できる実践項目を生み出すことで、社会全体の幸福度の向上も期待できるでしょう。
自己肯定感を高めることで、社会全体の発展にも寄与していきたいものです。
今日の心がけ◆自己肯定感を高めましょう
出典:職場の教養6月号
感想
「自己肯定感を高めましょう」という今日の心がけには、現代社会の課題に真っ向から向き合う前向きな意志が感じられました。
とくに印象的だったのは、日本の子供たちが「自分に満足している」と感じる割合が低いという点です。
これは単なる個人の問題にとどまらず、教育や家庭、そして社会全体の文化のあり方に深く関わるものです。
こうした現実を受け止め、教育現場での取り組みや家庭での意識改革が進んでいることに、希望を感じます。
また、自己肯定感を「世界中の人々が時代や国境を越えて共有できる価値」と捉えた視点はとても興味深く、自己肯定感が単なる個人の幸福だけでなく、社会全体の成熟にも寄与するという考えには深く共感しました。
私たち一人ひとりが「自分は存在しているだけで価値がある」と実感できるようになれば、他者への寛容さや協力的な態度も自然と広がっていくはずです。
心がけとしても、日々の生活において実践可能な、非常に意味ある指針だと思います。
否定的な感想
「自己肯定感を高めましょう」というメッセージが持つ危うさも感じました。
それは、「自己肯定感が高いこと=良いこと」という風潮が、逆に自己否定を強化してしまう可能性があるという点です。
つまり、「自己肯定感が持てない自分はダメだ」と、さらなる自己否定のスパイラルに陥る人も少なくないのではないかと懸念します。
また、文部科学省の調査結果を根拠にしているものの、それが個々人の多様な価値観や生き方をどこまで反映しているのかという点でも疑問が残ります。
自己肯定感の定義や測定方法が一様でない以上、「低い」とされるデータだけで日本人全体の心のありようを判断するのは早計です。
高めるべきという一方向のメッセージだけではなく、「低くてもいい」と感じられる安心感や、肯定感を持たない時間も尊重するようなバランスも必要ではないでしょうか。
真の意味での心の豊かさは、そうした揺らぎや不完全さを許すところから始まる気がします。