2025年6月22日(日) 技術の進歩

技術の進歩

平成三十年、経済産業省はデジタルトランスフォーメーションに関するレポートを発表し、ITシステムの問題点を「二〇二五年の崖」と表現しました。

新たなデジタル技術を活用し、ビジネスの創出などが行なわれなければ、二〇二五年以降、年間約十二兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されています。

原因として、旧来のデジタルシステムに対するサポートの終了、旧システムを担ってきた人々の高齢化、IT人材の不足などが挙げられます。また、新しいシステムの導入に対する利用者の抵抗感も推進の妨げとなっています。

現代の技術革新のスピードは非常に速く、それを取り入れて、仕事に生かしていくのは大変なことかもしれません。しかし、新たな技術もこれまでの技術を基礎に成り立っており、技術の進歩は世の常です。

新しい技術や考えを取り入れる柔軟性が大切でしょう。加えて、自分とは異なる立場や考えを持つ人の意見に耳を傾けることも必要です。

互いを尊重し議論を重ね、良き職場づくりに努めたいものです。

今日の心がけ◆柔軟性を持ちましょう

出典:職場の教養6月号

感想

このお話からは、技術の進歩に対する深い危機感と、未来への希望が同居しているように感じました。

「2025年の崖」という表現には強いインパクトがあり、現実的な危機を端的に示していて、改めてデジタルトランスフォーメーションの重要性に気づかされます。

特に、旧システムの限界と、それを担ってきた人材の高齢化という問題は、単なる技術の問題ではなく、日本社会全体の構造的課題を浮き彫りにしているように思えます。

それでも、技術革新の速さに戸惑いながらも「柔軟性を持ちましょう」と語りかけており、その姿勢に、私はとても共感を覚えました。

変化を恐れるのではなく、それを受け入れ、さらに他者の考えに耳を傾けながら未来を形作っていく姿勢は、ビジネスに限らず、人間関係や社会生活すべてに通じるものです。

今日の心がけとして掲げられた「柔軟性」は、時代を生き抜くための知恵であり、人間性を保つための美徳でもあると感じました。

否定的な感想

この文章には、やや理想論に寄りすぎている印象も拭えません。

「柔軟性を持ちましょう」「他者の意見に耳を傾けましょう」といった呼びかけは美しいものの、実際の現場ではそれがいかに困難であるかが語られていません。

たとえば、旧システムに慣れ親しんだ人々にとって、新たな技術への適応は心理的にも時間的にも大きな負担です。

その現実に対する具体的な支援策や、乗り越えるためのステップが示されていないため、読者にとっては少し空虚に感じられるかもしれません。

また、「年間12兆円の損失」という数値は確かにショッキングですが、それがどれほど実感を伴った危機なのか、もう少し生活者目線での説明があってもよかったように思います。

抽象的な危機感だけでなく、私たち一人ひとりの生活にどう影響するのかが見えてくれば、「柔軟性」の必要性もより説得力を持つでしょう。

この文章は、意識を高めるには有効ですが、実践に結びつけるにはもう一歩踏み込んだ現実感が欲しかったです。