2025年8月10日(日) 人生の調味料

人生の調味料

和食を作る際、基本の調味料や使用する順序を表わすものとして「さしすせそ」(「さ」は「砂糖」、「し」は「塩」、「す」は「酢」、「せ」は「醤油」、「そ」は「味噌」)が一般的によく知られています。

適切な調味料を適度な量で用いることによって、料理や材料その物の味が引き立ちますが、翻って、私たちの人生を彩る調味料は存在するのでしょうか。

ストレスが心身に与える影響を世に広めたカナダの生理学者、ハンス・セリエ博士は「ストレスは人生のスパイスである」という言葉を残しています。

一般的にはストレスは避けるべきものとされています。しかし、人間も含めて自然界におけるすべての存在が、ストレスを受けることによって様々な機能や能力の成長・進化が期待できるとセリエ博士は述べています。

トレーニングで負荷を与えることによって筋肉が鍛えられ、野菜もストレスを与えることで甘みが増します。料理に調味料が必要なように、「ストレスが無ければ味気ない人生」と捉えて、適度に受け入れていきたいものです。

今日の心がけ◆ストレスも成長の糧と捉えましょう

出典:職場の教養8月号

感想

この話は、「ストレス=悪」という一般的な認識に一石を投じ、ストレスを人生の「調味料」として捉える視点が非常に新鮮で、共感を覚えました。

ストレスを「人生に味わいを加えるスパイス」として受け入れることで、苦しみを単なる負の要素ではなく、成長や深化の機会と捉え直す視点は、非常に力強く、前向きな気持ちを与えてくれます。

また、セリエ博士の言葉を引用しつつ、筋肉や野菜の例を挙げた点も、理屈ではなく体感として理解しやすく、説得力がありました。

料理も人間の心身も、「適切な調味料(=適度なストレス)」があるからこそ引き立つという発想は、現代人が忘れがちな「バランスの大切さ」を再認識させてくれます。

今日の心がけで示されたように、ストレスを単なる敵とせず、受け入れ方を工夫することで人生がより豊かになるというメッセージは、多くの人にとって救いになると感じました。

否定的な感想

ストレスを「スパイス」として肯定的に捉える視点は美しくとも、現実的にはそれが困難である場面が多々あるのも事実です。

例えば、長期にわたる過労や人間関係による精神的な消耗、社会的抑圧といった深刻なストレスは、決して「適度なスパイス」とは言えません。

それらは人の人生を彩るどころか、むしろ蝕み、心身を壊してしまうことさえあります。

また、「ストレスを受け入れることで成長できる」という考え方は、結果的に「ストレスに弱い自分が悪い」という自己責任論に繋がりかねず、無意識のうちに追い詰めてしまう危険性もはらんでいます。

特にメンタルヘルスの脆弱な人にとっては、「もっと頑張れ」「乗り越えろ」と言われているように感じ、さらに自己否定感を強めてしまう恐れもあります。

人生を豊かにするためには、「調味料」の量を間違えれば料理が台無しになるように、ストレスとの付き合い方も慎重であるべきで、その点への配慮がもう少し欲しかったと感じました。