数値化による気づき
そんなに食べたつもりはないのに体重が増えたという経験はありませんか。
そのようなとき、摂取したカロリーを記録してみると、思っていた以上に食べていたことが判明する場合があります。これは、食事の量を感覚で判断していたため、実際の摂取量とズレが生じたためです。
同様に、お金の使い方についても、なんとなくの感覚で支出を管理していると、実際には予想以上に使っていることがあります。このように、感覚で判断していたことを数値で表わすと、自分の思い込みに気づかされることがあります。
例えば、Aさんはスマートウォッチで体の状態を測りながらサッカーの試合を観ていたところ、点数が入りそうなときに警告音が鳴りました。
その理由は、脈拍数が思いのほか上昇してしまったからで、冷静に見ているつもりだったのに実は興奮していたことが分かり、自分でも驚いたといいます。
このように数値化は、自分の思い込みに気づくきっかけになります。感覚だけに頼るのではなく、客観的な視点に立って物事を捉える意識を持ちたいものです。
今日の心がけ◆客観的な視点を持ちましょう
出典：職場の教養8月号
感想
この話は、感覚と現実とのギャップを数値によって埋めるというテーマが非常に腑に落ちました。
私たちはつい、自分の感覚を過信しがちですが、実際にはその感覚がいかに曖昧で、思い込みに左右されているかを突きつけられた思いです。
特に印象的だったのは、Aさんのエピソードです。
サッカーの試合中、自分では冷静だと思っていたのに、スマートウォッチのデータが興奮状態を示していたというくだりは、自分自身を客観的に見つめ直す契機になると感じました。
身体的な反応はごまかしがきかず、そこに真実があるのだと思います。
現代は、数値で可視化できるツールが充実していますが、それを「管理」ではなく「気づき」のために活用する姿勢が大切なのだと教えられました。
今日の心がけの「客観的な視点を持ちましょう」は、この文章の核心を的確に表現しています。
数字という鏡に自分を映し出し、そこから素直に学ぶ姿勢を大切にしたいです。
感覚に頼るだけでは見落としてしまう自分の姿が、そこには確かにあります。
否定的な感想
数値化を全面的に肯定する風潮には、少し危うさも感じます。
人間の営みすべてを数値に置き換えることは、豊かな感性や曖昧さの中にある人間らしさを削いでしまうのではないでしょうか。
例えば、誰かと過ごす時間の「心地よさ」や、ある瞬間の「幸せ」は、決して数値では測れないものです。
また、食事量や支出を記録することが、過剰な自己管理やストレスにつながることもあります。体重や支出に過敏になりすぎると、数字に振り回されて生きることになりかねません。
Aさんのエピソードにしても、もし常に脈拍数を意識し続けるようになると、それが逆に楽しみを奪ってしまう可能性もあります。
客観的な視点は確かに大切ですが、それが行き過ぎると、自分の感覚や直感を軽視するようになってしまいます。
大切なのは、数値と感覚のバランスを取りながら、どちらにも耳を傾ける姿勢だと思います。
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