ゴミ拾い
Tさんは、いつも鞄のポケットにビニール袋を入れて、道端にゴミが落ちていると拾ってその中に入れています。
かつては缶飲料のプルタブ(フタ)が落ちていましたが、開けても缶と離れないステイオンタブが普及したことでプルタブを見かけることはなくなりました。
しかし、Tさんの暮らす自治体では、条例で路上喫煙が禁止されているにもかかわらず、タバコの吸い殻は依然として多く見かけます。
日本は諸外国に比べて、道端に捨てられるゴミが少ないと言われています。これは、日本人の高い公共意識と環境保護への関心が反映されているからでしょう。
清潔な街並みは観光客にも好評で、地域のボランティアなどの協力によって維持されていることが多いといいます。
Tさんは、人前でゴミを拾うのが気恥ずかしく感じることがあります。しかし、ゴミ拾いをすることで、自分が地域に貢献できるという意識が高まり、明るい気持ちになれることから、これからも続けようと思っています。
今日の心がけ◆公共意識を高めましょう
出典：職場の教養9月号
感想
Tさんの行動には、とても誠実さと静かな強さを感じます。
ゴミを拾うという行為は、誰からも称賛されるわけでもなく、目立つこともないものです。
しかし、そうした小さな積み重ねが街の清潔さを守り、地域の人々の暮らしやすさにつながっています。
特に印象的なのは、Tさんが「恥ずかしさ」を感じながらも、それを超えて行動に移している点です。
多くの人はその恥ずかしさの段階で止まってしまいますが、Tさんはそこを一歩踏み出している。
これは、まさに「公共意識」が生きている証だと思います。
また、プルタブの例からも分かるように、技術や社会の仕組みが少しずつ環境を改善してきました。
しかし、喫煙マナーのように人の意識に依存する部分は、まだまだ課題が残っています。
そんな中でTさんのような人が一人でも増えれば、その地域全体の雰囲気や意識が変わっていくのではないでしょうか。
小さな善意の連鎖が街を変えていくことを考えると、Tさんの行動は非常に価値のあることだと感じます。
今日の心がけ「公共意識を高めましょう」という言葉は、まさにTさんの行動を象徴しているようで、読み手に「自分もできることから始めよう」と思わせてくれる力を持っていると感じました。
否定的な感想
Tさんのような個人の善意に頼らざるを得ない現実に、少し違和感も覚えます。
確かに個々の公共意識が街を清潔に保つ大きな力にはなりますが、そもそもゴミを捨てる人がいなければ、こうした努力は必要ないはずです。
条例で路上喫煙が禁止されているにもかかわらず、タバコの吸い殻が多く見られるという点は、日本社会に残る矛盾を映し出しています。
つまり、法やルールがあっても、守られなければ意味がないのです。
その点で「日本はゴミが少ない」という評価に安心してしまうと、問題の根本を見過ごしてしまう危険があると感じます。
また、Tさん自身が「恥ずかしさ」を感じてしまう現実も、逆に日本の社会の課題を表しているように思います。
人前で善意の行動をすることがためらわれる社会は、本当に公共意識が高いと言えるのでしょうか。
本来ならば、ゴミを拾う姿は自然なことであり、むしろ誇らしいはずです。
それが「気恥ずかしい」とされてしまうのは、どこか周囲の目を気にしすぎる日本特有の同調圧力のようにも感じます。
Tさんのような存在が増えることも大事ですが、それ以上に「そもそもゴミを捨てない文化」と「善行を自然に受け入れる社会」の両立が必要だと強く思いました。
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