2024年10月25日(金) 指示を超えた提案

美容師のTさんは、常連客であるSさんを担当する際に「今日はどうしましょうか?」と聞くと、決まって「前回と同じで」と返答され、いつも通りのカットとパーマの施術を長年行なってきました。

Sさんには毎回満足してもらっていました。ただ、髪質などを考慮すると別の髪型の方がパーマのかかりも良く、何よりSさんに似合うとTさんは思っていましたが、Sさんの指示通りに行なうことを優先していました。

その後、再びSさんが来店した際に、Tさんは思い切って新しい髪形を提案すると、「ではTさんにおまかせします」と言われたのです。

施術後、Sさんは新しい髪形を気に入ってくれました。それからは「前回と同じで」ではなく「Tさんにおまかせします」と言われるようになり、コミュニケーションも深まり、信頼関係がより強くなったような気がしました。

指示された通りのことを適格に行なうのは当然のことですが、改善点などがあれば積極的に提案して、より良い業務内容と職場環境を築いていきたいものです。

今日の心がけ◆積極的に提案しましょう

出典:職場の教養10月号

感想

長年続くルーティンの中で、Tさんが自身の意見を積極的に提案することで、新しい可能性を開くことができたのは素晴らしいことだと思いました。

Tさんが自身のスキルやセンスに対する自信を持ち、それをSさんに伝えることで、Sさんの新たな一面を引き出せたのは、プロフェッショナルとしての大きな成功と言えるでしょう。

また、「おまかせします」という言葉が意味するものは信頼そのものです。顧客からの信頼を得ることで、より自由度の高い仕事ができるようになり、Tさん自身のモチベーションも向上したに違いありません。

この話は、日々の仕事においても単なる「指示通りの仕事」を超えて、より良い結果を追求することの重要性を教えてくれます。「積極的に提案しましょう」という心がけが、この物語の中核にあり、誰にとっても学ぶべき価値のある姿勢だと感じました。

否定的な感想

Tさんの行動にはリスクも伴っていたのではないかと感じます。

Sさんは「前回と同じで」と長年言い続けていたことから、ある種の安心感や安定感を求めていた可能性が高いです。Tさんの提案が受け入れられたことは結果的に良い方向に進みましたが、もし新しいスタイルがSさんに合わなかった場合、信頼が崩れる可能性もあったでしょう。

美容師としてのプロフェッショナルな判断は重要ですが、顧客の気持ちや安心感を尊重することも同様に大切です。提案する際には、十分な説明や配慮が必要だったのではないかと思います。

さらに、「おまかせします」というSさんの言葉は、確かに信頼を示すものですが、それが逆にTさんにプレッシャーを与える可能性も考えられます。

信頼関係が強まることで、より多くの期待がTさんに寄せられることになりますが、その期待に応え続けることは簡単ではありません。

Tさんの提案によって顧客が新しいスタイルに満足することは理想的ですが、顧客の好みや心地よさを無視して新しいスタイルを押し付けてしまうと、結果的には関係が悪化するリスクもあります。