入社二年目のAさんが、社内研修に参加した時のことです。
参加者でグループになり、自身の仕事や家庭の課題を共有して話し合う時間がありました。その時、法人営業を担当するAさんは、目標の数字に対して、結果がでずに困っていることを打ち明けました。
参加者の一人からは、「どんな気持ちで働いているの?」と質問されたので、Aさんは「営業成績で同僚に負けたくない」との思いを伝えました。
すると「同僚に勝つより、まずはお客様に喜んでもらうことじゃないかな?何より主役はAさんだよ。他人と比較するよりも、自分の持ち味を活かして、楽しく働くのがいいよ」と提案を受けたのです。
Aさんは、ハッとさせられました。それからは、〈お客様に喜んでもらえる提案ができるよう、もっと勉強して自分を成長させよう〉と、本来の目的に立ち返りました。その結果、自然と営業成績も向上しました。
目的を見失わず、目の前の仕事に精いっぱい取り組みたいものです。
今日の心がけ◆仕事に向き合う心を確認しましょう
出典:職場の教養11月号
感想
このエピソードは、仕事における姿勢や目的意識の大切さを改めて考えさせられる内容だと思いました。
Aさんが「同僚に負けたくない」という競争心から目標を見つめていたのは、多くのビジネスパーソンが一度は経験する気持ちではないでしょうか。
競争が動機の中心にあると、自分を追い込みやすくなり、焦りや失敗に対する不安も増幅しがちです。
しかし、このような時に他人からの温かい助言で視点を変えられるのは貴重で、Aさんがその助言に気づき、柔軟に自分の目標を修正できた点が素晴らしいと感じました。
「お客様に喜んでもらう」という、本来の営業の目的に立ち戻ることで自分の役割を再認識し、さらに前向きな姿勢で仕事に取り組めるようになったAさんの姿は、自分にとっての真の目標を再確認するきっかけを与えてくれます。
また、Aさんが自己成長を目指す姿勢に変わった結果、自然と営業成績も向上したという点に、物事がうまくいくためのヒントが詰まっているように思います。
自分の成長や相手への貢献を意識したとき、結果が伴うのは当然の流れともいえるでしょう。
Aさんの例は、数値目標だけでなく「誰のために何をするか」を意識することで、仕事への取り組み方が変わり、長期的な成果につながることを教えてくれます。
私たちもこの話を通じて、日々の業務における「初心」を思い出し、何のために働くのかを見つめ直すきっかけにできると思います。
否定的な感想
Aさんが「同僚に負けたくない」と感じるのは自然なことであり、そのような競争心を否定的に受け取られるのも少し気になります。
職場で他者と自分を比較しながら向上心を抱くのは、成長の原動力としてもよくあるプロセスです。
むしろ、この競争心を適度に保ちながら、自分のスキルを磨く方法も一つのやり方ではないでしょうか。
今回の話では「お客様に喜んでもらう」という視点が重要視されていますが、実際のビジネスでは競争意識や目標達成への意欲もまた欠かせない要素です。
Aさんのような競争心が、他人にアドバイスされる前に自発的に「顧客満足」という目標へと発展できていれば、さらに自然な成長が見込めたのではと考えます。
また、助言を受けたことで成績が向上したという展開もやや理想化されているように思えます。
実際の仕事では、目標を再確認しただけではすぐに結果に反映されるとは限らず、地道な努力が伴います。
Aさんが本当に成績を上げるまでには、さらに多くの試行錯誤や自己投資があったはずで、それらの積み重ねが描かれていないため、やや表面的に感じられる部分もあります。
このように「考え方を変えればすぐに結果が出る」と受け取られると、実際の仕事の難しさや長期的な努力が軽視されてしまう危険性があるのではないでしょうか。